ミズノフットボールのモノづくりの姿勢 ～リバウドとのシューズ開発秘話を紐解く～
2002年のワールドカップでブラジル代表の１０番を背負っていたリバウドが履いていた白いスパイクを覚えている方は多いのではないだろうか？そのスパイクの開発秘話を聞いた。
菊池 康平
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2018/11/27
WAVE CUP LEGENDを手に取った時に思わず「懐かしい！」と叫んでしまった。同年代の方は恐らく同じ思いではないか？
元ブラジル代表のリバウドが使用したモデル「WAVE CUP リバウド2002」（2001年発売）の復刻版である「WAVE CUP LEGEND（ウエーブカップレジェンド）」が11月3日に限定発売された。
ミズノフットボールが進めている「REBUILD PROJECT」の第二弾。過去の人気モデルを最新機能やこだわりの素材で再生し、ミズノフットボールのモノづくりの姿勢を伝えていくプロジェクトだ。
世界最高峰のプレーヤー、リバウドとのシューズ開発秘話を紐解くことで、ミズノフットボールのモノづくりの姿勢をたくさんの方々に知ってもらいたいという想いがあるそうだ。
当時、ミズノフットボールは、1985年から販売している「モレリア」を展開。もう一つの柱となるシューズの開発を模索していた。2002年日韓ワールドカップに向けて、革新的なシューズを開発したかった。
そこで白羽の矢がたったのが、当時、陸上シューズの開発を担当していた「大禮 剛（おおれい たけし）」。その大禮さんに当時の開発秘話を聞いてみよう。
――色々な選手がいる中で、なぜリバウドだったんですか？
大禮 当時のリバウドは｢ブラジル代表｣と｢FCバルセロナ｣で共にエースナンバーの10番を背負い、誰もが認める世界No.1の選手でした｡
世界No.1の選手､即ち世界一正しいサッカーの動きをする選手といえるでしょう。その動きのデータから設計されたシューズは､履いていくれた方々に正しいサッカーの動きを提供・誘導してくれる為、彼を開発パートナーに選びました｡
――リバウドに会った際の第一印象は？
大禮 体全体に自信がみなぎっており､今まで他のトップ選手には見たことのないようなオーラを感じました｡
――実際に一緒に開発して印象に残っているエピソードは？
大禮 本開発において沢山のエピソードがありましたが､強く記憶に残っているものは下記です。
① 2000年6月10日のWAVE CUP開発スタートのMTG時に、最初の本人の第一声が｢開発の必要が無い｣でした。本人はモレリアに十分満足していた為です。
② 2000年11月にWAVE CUPの最初のテストシューズを見せて説明した際にリバウドは終始無言でした。感動して言葉が出なかったようです。
③ 急に電話で奥様を呼び出し、本人のシューズとその開発手法について私から奥様に説明するように依頼されました｡奥様に自慢したかったみたいです。
④ 試合で使わないように依頼していたにも関わらず、②のシューズをいきなりスペインリーグの公式戦(オサスナ戦)で使用していました｡ 気に入っていて、試合で履きたくて我慢できずに履いてしまったようです。
➄ 最初のテストシューズを練習と試合で評価した後に｢可能であればもう少し軽くして欲しい｣と要望を受けました。最初のテストシューズは217gでモレリアより約28g軽量でしたが、更に軽量を要望されました。
⑥ 全ての素材､設計(アッパー&ソール)を見直し､更に17gの軽量をし、最終的に200gを実現しました｡そのシューズを2001年2月に再度バルセロナでリバウドに再提案した時､子供の様に喜び｢パーフェクト｣とお褒めの言葉を頂きました。
⑦ 最後のリクエストが息子と娘の名前をスパイクに入れて欲しいとの要望でした。リバウドは非常に家族を大事にする人で家族の大切さを彼から教えてもらいました。
⑧本開発中ブラジル代表チームは南米予選で非常に苦戦しており､10番を背負っていたリバウドが当然非難の的になっておりました。
本人もそのプレッシャーに耐えきれず､代表辞退も考えたらしいですが｢俺がW杯で活躍する為の素晴らしいシューズをミズノが開発してくれた｡その恩返しの為にも南米予選を勝ち抜き、W杯も活躍できるように頑張る｣と言ってくれました。
――リバウドが一番こだわっていた点は？
大禮 とにかく軽量であることです｡なぜならばリバウド曰く軽量のメリットは下記①～③の３つです。
① 履いていて疲れない
②足が速く振れる為、速いボールが蹴れる
③ キックのインパクトの瞬間の直前に足の向きを変え、状況変化に応じ臨機応変に適切なキックができる
――日本人とブラジル人の感性の違いは？
大禮 私は開発を通じ深く関わったのはリバウドのみの為、私の口から自信を持って違いを語る事はできませんが､モレリアのコンセプトの｢軽量｣｢柔軟｣｢素足感覚｣は､まさにブラジルのサッカー選手がシューズに求める感性そのものかと思います｡
――実際にリバウドがブラジル代表などで履いているのを見て、どんな感情が湧きましたか？
大禮 自分が開発したシューズとセレソンのユニフォームが一体化し､おこがましいですが､まるで自分がブラジル代表の一員かの様な感情でした｡
――今回の復刻モデルはどんな方に履いてもらいたいか？
大禮 WAVE CUPのコンセプトは下記①～③の3つ｡その3つの機能を必要とする全ての方々に履いて頂きたいです｡
①軽量 : リバウドの唯一の要望
②クッション&スタビリティ : サッカー競技は長時間高いパフォーマンスを維持しなければならない(コンパクトウェーブにより実現)
③トラクション(グリップ性) : サッカー競技は出足の一歩により得点・失点・反則(時によって退場やPK)に繋がる為
また、11月23日にREBULA２、MORELIAシリーズでも「レジェンドブルーカラー」が発売された。
MORELIA Ⅱ （レジェンドブルーカラー）
レビュラ ２V１ JAPAN（ブルー）
写真提供：ミズノ株式会社
元ブラジル代表のリバウドが使用したモデル「WAVE CUP リバウド2002」（2001年発売）の復刻版である「WAVE CUP LEGEND（ウエーブカップレジェンド）」が11月3日に限定発売された。
ミズノフットボールが進めている「REBUILD PROJECT」の第二弾。過去の人気モデルを最新機能やこだわりの素材で再生し、ミズノフットボールのモノづくりの姿勢を伝えていくプロジェクトだ。
世界最高峰のプレーヤー、リバウドとのシューズ開発秘話を紐解くことで、ミズノフットボールのモノづくりの姿勢をたくさんの方々に知ってもらいたいという想いがあるそうだ。
当時、ミズノフットボールは、1985年から販売している「モレリア」を展開。もう一つの柱となるシューズの開発を模索していた。2002年日韓ワールドカップに向けて、革新的なシューズを開発したかった。
そこで白羽の矢がたったのが、当時、陸上シューズの開発を担当していた「大禮 剛（おおれい たけし）」。その大禮さんに当時の開発秘話を聞いてみよう。
――色々な選手がいる中で、なぜリバウドだったんですか？
大禮 当時のリバウドは｢ブラジル代表｣と｢FCバルセロナ｣で共にエースナンバーの10番を背負い、誰もが認める世界No.1の選手でした｡
世界No.1の選手､即ち世界一正しいサッカーの動きをする選手といえるでしょう。その動きのデータから設計されたシューズは､履いていくれた方々に正しいサッカーの動きを提供・誘導してくれる為、彼を開発パートナーに選びました｡
――リバウドに会った際の第一印象は？
大禮 体全体に自信がみなぎっており､今まで他のトップ選手には見たことのないようなオーラを感じました｡
――実際に一緒に開発して印象に残っているエピソードは？
大禮 本開発において沢山のエピソードがありましたが､強く記憶に残っているものは下記です。
① 2000年6月10日のWAVE CUP開発スタートのMTG時に、最初の本人の第一声が｢開発の必要が無い｣でした。本人はモレリアに十分満足していた為です。
② 2000年11月にWAVE CUPの最初のテストシューズを見せて説明した際にリバウドは終始無言でした。感動して言葉が出なかったようです。
③ 急に電話で奥様を呼び出し、本人のシューズとその開発手法について私から奥様に説明するように依頼されました｡奥様に自慢したかったみたいです。
④ 試合で使わないように依頼していたにも関わらず、②のシューズをいきなりスペインリーグの公式戦(オサスナ戦)で使用していました｡ 気に入っていて、試合で履きたくて我慢できずに履いてしまったようです。
➄ 最初のテストシューズを練習と試合で評価した後に｢可能であればもう少し軽くして欲しい｣と要望を受けました。最初のテストシューズは217gでモレリアより約28g軽量でしたが、更に軽量を要望されました。
⑥ 全ての素材､設計(アッパー&ソール)を見直し､更に17gの軽量をし、最終的に200gを実現しました｡そのシューズを2001年2月に再度バルセロナでリバウドに再提案した時､子供の様に喜び｢パーフェクト｣とお褒めの言葉を頂きました。
⑦ 最後のリクエストが息子と娘の名前をスパイクに入れて欲しいとの要望でした。リバウドは非常に家族を大事にする人で家族の大切さを彼から教えてもらいました。
⑧本開発中ブラジル代表チームは南米予選で非常に苦戦しており､10番を背負っていたリバウドが当然非難の的になっておりました。
本人もそのプレッシャーに耐えきれず､代表辞退も考えたらしいですが｢俺がW杯で活躍する為の素晴らしいシューズをミズノが開発してくれた｡その恩返しの為にも南米予選を勝ち抜き、W杯も活躍できるように頑張る｣と言ってくれました。
――リバウドが一番こだわっていた点は？
大禮 とにかく軽量であることです｡なぜならばリバウド曰く軽量のメリットは下記①～③の３つです。
① 履いていて疲れない
②足が速く振れる為、速いボールが蹴れる
③ キックのインパクトの瞬間の直前に足の向きを変え、状況変化に応じ臨機応変に適切なキックができる
――日本人とブラジル人の感性の違いは？
大禮 私は開発を通じ深く関わったのはリバウドのみの為、私の口から自信を持って違いを語る事はできませんが､モレリアのコンセプトの｢軽量｣｢柔軟｣｢素足感覚｣は､まさにブラジルのサッカー選手がシューズに求める感性そのものかと思います｡
――実際にリバウドがブラジル代表などで履いているのを見て、どんな感情が湧きましたか？
大禮 自分が開発したシューズとセレソンのユニフォームが一体化し､おこがましいですが､まるで自分がブラジル代表の一員かの様な感情でした｡
――今回の復刻モデルはどんな方に履いてもらいたいか？
大禮 WAVE CUPのコンセプトは下記①～③の3つ｡その3つの機能を必要とする全ての方々に履いて頂きたいです｡
①軽量 : リバウドの唯一の要望
②クッション&スタビリティ : サッカー競技は長時間高いパフォーマンスを維持しなければならない(コンパクトウェーブにより実現)
③トラクション(グリップ性) : サッカー競技は出足の一歩により得点・失点・反則(時によって退場やPK)に繋がる為
また、11月23日にREBULA２、MORELIAシリーズでも「レジェンドブルーカラー」が発売された。
MORELIA Ⅱ （レジェンドブルーカラー）
レビュラ ２V１ JAPAN（ブルー）
写真提供：ミズノ株式会社
