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サッカー日本代表選手と一緒に楽しくボールを蹴る! ウォーキングフットボールが繋ぐ笑顔

日本代表選手とともに老若男女251名が歩くサッカーを楽しんだウォーキングフットボールのイベント、第4回「JFA×KIRIN キリンファミリーチャレンジカップ」が5月26日高円宮記念JFA夢フィールド(千葉)で開催された。ウォーキングフットボールは、「走らない」5人制サッカーだ。年齢・性別・サッカー経験・障害の有無を問わず、誰もが気軽に楽しめる。この日は32チーム251名の家族や仲間が集まり、ゲストの日本代表選手とともにボールを追った。

Icon img 20200702 114958 井上 尚子 | 2024/05/31

「走らない」サッカー

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終始マイクで実況を続けた永島昭浩さんも笑顔(筆者撮影)
ウォーキングフットボールは、キーパーなしで、歩いて行う5人制のサッカー。老若男女、運動が苦手でも障害があっても、幅広く一緒に楽しめる。日本ではボディコンタクトもなくしている。JFAでも積極的に取り入れており「家族や身近な仲間との絆が深まり、日常がより豊かになるサッカー体験を日本中のサッカーファミリーに届けたい」という想いのもと、日本サッカー協会(JFA)とキリンホールディングス株式会社がウォーキングフットボールのイベント「キリンファミリーチャレンジカップ」を始めた。2022年12月に第1回を開催し、以降は2023年に大阪と福岡で開催。これまでに1歳~83歳の1,200人以上が参加して好評を博している。第4回目の今回は、0歳~70代までの32チーム251名が千葉に集まった。

日本代表の踏んだピッチで


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年齢も関係なく家族が一つのチームに(提供写真)

開会式は緑が眩しい天然芝のピッチで行われた。会場となった高円宮記念JFA夢フィールドは、各カテゴリの日本代表がトレーニングなどで使用し、日本サッカーの拠点となっている施設。緑の芝のピッチは数多の日本代表が踏んだその場所だ。

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会場となった千葉県・高円宮記念JFA夢フィールド(筆者撮影)

「たくさん褒められてください」「得点したらゴールパフォーマンスを思いっきりしてください」
開会式の挨拶には、そんな言葉が並ぶ。堅苦しいことは何もない。勝負よりも、ボールに触る楽しさ、パスが繋がる嬉しさを皆が経験し、ゴールの喜びを味わう。そんな大会だ。

「クラッキ!ダンス」でウォーミングアップ


ストレッチ・ウォーミングアップの体操には、EXILE TETSUYAさん監修の「クラッキ!ダンス」を全員で踊る。「クラッキ」とはサッカーの上手い人のこと。子どもの成長のために必要な動きを取り入れたダンスは、ウォーミングアップにぴったりだ。選手や参加者、スタッフも音楽に合わせて全身を動かし、ポーズを決めた。

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クラッキ!ダンスを皆で踊るウォーミングアップ(提供写真)

試合開始の合図とともに、1~8のピッチで同時に試合が開催される。1ゲームは8分で、4分経つと音が鳴る。メンバーは随時交代してよく、チームの全員が出場できるようにする。代表選手たちは4分ごとに場所を移動して、すべてのチームに飛び入り参加できるようにしていた。

ゴールパフォーマンスが最も重要


ゴールキーパーはいないが、それぞれがゴールに向かってパスを繋ぎ、シュートをするのは同じだ。得点が決まると「はい、ゴールパフォーマンスして!」と声がかかり、メンバーが集まって、思いおもいに歓喜のパフォーマンスを繰り広げる。チーム全員の笑顔が弾ける瞬間だ。

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小久保選手もゴールパフォーマンス(筆者撮影)

走らない、ボールを奪わない、というルールはあるものの、それに対する罰則はない。黒い服のスタッフはいるが、「審判」ではなく、ゲームをスムーズに進行するために手助けする「ピッチマネジャー」だ。面白いのはこのピッチマネジャーがイエローやレッドではなく「グリーンカード」を持っていて、良いプレーだったり、素晴らしいマナーだったり、楽しくサッカーをしているメンバーには積極的にグリーンカードを出して「褒める」のだ。それがまた笑顔を生み、楽しいゲームに繋がっていく。

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ピッチマネジャーがファインプレーにグリーンカードを出して褒める(筆者撮影)

家族がチームになる


誰でもできる、という言葉そのままに、やっと歩けるくらいの小さなお子さんもいる。赤ちゃんを抱いたままのお母さんがパスを受け、いつもは応援している側のお父さんがゴールを決める。元気なおじいちゃんが歓声を上げ、おばあちゃんが楽しいパフォーマンスを見せるなど、さまざまな参加者の姿が見られた。

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思いおもいのゴールパフォーマンスで思い切り楽しむ(筆者撮影)

勝敗はなく、得点も失点も記録されない。「初めてサッカーをやってみた」「難しいけど楽しかった」そんな声が随所で聞かれる。
普段は同じチームになることのない、家族や仲間がチームとなり、いつもとは違う会話や時間を共有した。

すべての試合が終了すると閉会式が行われた。審査により「ゴールパフォーマンス賞」が6チーム選ばれ、閉会式で表彰された。

サッカー日本代表とともに


ヨーロッパでのシーズンを終えて帰国したゲストの日本代表選手たちは、この後代表戦も控えているが、試合が始まると参加チームを渡り歩き、さまざまな人とのサッカーを楽しんでいた。

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清水選手にも笑顔が弾けた(筆者撮影)

清水梨紗は小さな子どもたちとも連れ立ってプレイし、中村敬斗は「ゴールパフォーマンスを一緒に楽しくできました」と語った。小久保玲央ブライアンは「小さい子を抱っこすることがないので、試合より緊張した」と言い、終始柔らかな表情を見せていた南野拓実は「対戦相手かチームメイトかにかかわらず声をかけてもらった。素晴らしい企画だし、参加させてもらえるのは光栄なこと」と締めくくった。

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南野選手も温かく見守りながら一緒にプレー(筆者撮影)

この日、会場外にはSAMURAI BLUEのバスが置かれ、誰でも中に入ることができるようになっていた。座席に座ることもできて、子どもたちにとっては憧れの代表選手たちの気分を味わえる貴重な体験となった。

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サッカー日本代表が使用するバス(筆者撮影)
またSAMURAI BLUE、なでしこジャパン、U-23日本代表に向けて、フラッグに応援メッセージを書くスペースが設けられ、試合の合間に参加者たちが色とりどりのメッセージを書き込んだ。このフラッグは閉会式で日本代表選手たちに贈呈され、この後、日本代表のロッカールームに掲げられることになっている。

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フラッグに日本代表へのメッセージを書くスペースが設けられた(筆者撮影)

このイベントの目的は「みんなでボールを触って、みんなで楽しむ」こと。その通りに多くの人たちがボールに触れ、楽しい時間を共有した。この日の参加者たちは、恐らく家族や仲間でこの時間を何度も振り返り、楽しい思い出とするだろう。

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閉会式でのフラッグ贈呈風景(筆者撮影)

ライフスポーツとしても長く続けられるというウォーキングフットボール。今後も「走らない」サッカーのイベントは続き、次へとパスを繋いでいく。この日支えた多くのスタッフにとっても、会場中で見られた笑顔が何よりの成果だっただろう。