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FIFAワールドカップ“森保ジャパン”が新たに採用した攻撃的3バックの狙いとは?【プレイバック】
2026年のFIFAワールドカップ26の本戦出場に向けて、アジア最終予選を戦う日本代表。森保一監督率いるチームは「歴代最強」呼び声も高く、従来の4バックではなく、超攻撃的な3バックシステムを採用して連勝を伸ばしている。元日本代表の内田篤人氏と森保ジャパンを徹底分析。森保監督と佐藤氏の対談から見えた、3バックの狙いを解説した。※トップ画像出典/PhotoAC
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3バックを採用により「攻撃に厚みを持たせる」ことが可能に
森保監督との対談から見えた、3バックの3つのポイント。「攻撃に厚みを持たせる」「プレス回避」「試したいシステム」を順番に解説する。
森保監督は、サンフレッチェ広島時代にも3バックを採用していた。その当時、ストライカーとして活躍していた佐藤氏が、広島時代と今の日本代表の違いを解説。広島では「攻撃のときにボランチが1枚下がって、中盤が1枚。ウイングバックが高い位置の配置になるので、3バックというよりは4-1-4-1のようなシステムで攻撃の構築をしていました」と佐藤氏。相手ペナルティーエリア付近では、ボールと逆サイドのウイングバックの選手がゴール前に飛び込むことをも重要視されておらず、エリアに入るのは3人だった。
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日本代表の3バック戦術は、それと異なる。森保監督は理想の形として、アジア最終予選の中国戦で堂安律が逆サイドにクロスを上げ、三苫薫が合わせて2点目を獲得したシーンを挙げた。「サイドをそのまま突破できる形で、ボックス内に人数をかけて入り、逆サイドのウイングバックの選手が点を取ったことは、チームとして狙いどおりに事が運んだと思います」。
佐藤氏は「ボールサイドの局面作りで2人を割いているにもかかわらず、4人がゴール前に入っていける」とボードを使って解説。ボランチの選手が1人で広大なスペースを守り、3バックの選手も1対1で守る必要がでてくるのでリスクは伴うが「相手が守備的に戦ってきている中でも、しっかり局面を打開できていた」と、このゴールを評価。さらに内田氏は「跳ね返されても、後ろの回収がよかった。カウンターでピンチを食らうこともなく、バランスや後ろの対人の強さはさすがと言うほかはない」と、元DFという立場からコメントしていた。
日本代表の3バックは、攻撃のときにボランチの1人がペナルティーエリア内に入る。さらに逆サイドの選手も飛び込むことによりエリア内の枚数が増え、攻撃に厚みを持たせることができている。
森保監督が挙げる今後の課題は「プレス回避」
2つ目のポイントが「プレス回避」。9月シリーズの中国戦でのビルドアップで、不安定な部分があったことが今後の課題と森保監督は語る。佐藤氏は「ボール保持のときにプレスをかけられても、それを外せるかということ。上手く外せると、攻撃のチャンスシーンになる」と解説した。
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内田氏はGKの鈴木彩艶を挙げ「繋ぐこともできるし、(ロングボールを)蹴れる」と技術の高さを評価。プレス回避には、それも重要と話す。「僕は前からプレス行くことになったら、裏に蹴られるという選択肢がなくなるほど、前から行きやすくる」と、自分の経験を明かす。鈴木選手からのロングパスを見せることで、相手からのプレスを弱められると解説した。
さらに「縦パスが入れば、ターンできる選手がいっぱいいる」と内田氏。「無理の利く選手たちがいっぱいいる。多少詰まっても、無理して回避していく」と、現在日本代表で活躍する選手の技術力の高さでプレス回避できると話した。
W杯優勝が目標の日本代表ー今後試していきたい戦術とは?
森保監督は対談で「これまでやってきた4バックを含めて、3-4-2-1や3-1-4-2みたいな形をいろいろ試して、アップデートしていければいい」と、今後の展望を語った。佐藤氏は「選択肢を増やす作業を、最終予選を戦いながらトライしていると感じました」と話す。
3バックでウイングバックが攻撃的になることで、裏を狙われる懸念について、内田氏は「両ウイングの選手が守備を頑張るので、あまりこう守備が大丈夫かなと思わない。両サイドの守備の強度が強いですからね」と、現在はあまり心配ないことを強調した。
森保監督との対談を振り返って「世界一になるためのチーム作りをしてることを、監督の言葉からあらためて感じました」と振り返った佐藤氏。11人全員が、攻守において高い強度を求められている。アジア最終予選を突破するだけでなく、W杯本戦でも良い成績を残してくれることを期待したい。
「DAZN内田篤人のFOOTBALL TIME #203」より
※記事内の情報は放送当時の内容を元に編集して配信しています