「ホークスとファイターズの2強、オリックスにも期待」デーブ大久保が予想するパ・リーグの順位とは
いよいよプロ野球のペナントレースが開幕。昨季のパ・リーグは、福岡ソフトバンクホークスが2位に13.5ゲームの大差を付けて4年ぶりのリーグ優勝に輝いた。また、新庄剛志監督率いる北海道日本ハムファイターズが2年連続最下位から2位に躍り出てリーグを盛り上げた。果たして今季はどんな勝負を繰り広げるのか?西武ライオンズや読売ジャイアンツでプレーし、東北楽天ゴールデンイーグルスの1軍監督も務めたデーブ大久保氏にパ・リーグの順位予想とキーマンとなる選手や監督について語ってもらった。※トップ画像撮影/松川李香(ヒゲ企画)

――昨季は福岡ソフトバンクホークスが2位に大差を付けてリーグ優勝を収めましたが、今季のパ・リーグの順位予想は?
デーブ大久保氏 パ・リーグ順位予想
1位:福岡ソフトバンクホークス
2位:北海道日本ハムファイターズ
3位:オリックスバファローズ
4位:千葉ロッテマリーンズ
5位:埼玉西武ライオンズ
6位:東北楽天ゴールデンイーグルス
タイトルホルダーが並ぶ最強打線のホークスを首位予想
――ホークスを優勝予想されていますが、その理由は?
投打ともに、今年も盤石ですよ。昨季の首位打者・近藤健介、ホームラン王の山川穂高に加えて柳田悠岐がシーズン通して中軸に座るようだったら、破壊力は12球団トップですから。
1番を打つ俊足の周東右京から山川にどう繋ぐのかがキーにはなりますけど、オープン戦だと2番・柳田、3番・近藤だったりその逆だったり、いろいろ試していますよね。
開幕の数試合を見てどれがしっくり来るのか判断するのでしょうけど、いずれせよ上位打線の迫力はすごいですよ。
心配なのは5番を打つはずだった栗原陵矢のケガ。彼は単打も長距離も打てるバッターなので離脱は痛いですが、控え選手も豊富なので問題ないでしょう。
盤石の投手陣がおり、甲斐の不在も問題なし
――甲斐拓也捕手がジャイアンツに移籍しましたが、影響はないですか?
昨季も甲斐に頼りすぎず、海野隆司を51試合に出場させて経験を積ませていましたし、そこまで影響はないと思います。
確かにリード面で甲斐は優れていましたが、リードどうこう以前に、ホークスはピッチャーが良いですから。
海野を中心にしつつ、複数のキャッチャーでどうにかできるはずです。
――投手陣はどう見ていますか?
昨季よりも良いです。有原航平、モイネロ、スチュワート・ジュニア、大関友久といった先発ローテーションは安定感がありますし、リリーフの藤井皓哉、松本裕樹、オスナあたりも良い。
そこに、トレードで加入した濱口遥大(元・横浜DeNAべイスターズ)、メジャーでは振るわなかった上沢直之(元・ボストン・レッドソックスほか)も来ましたから。
彼らは新天地で復活する可能性が高いので、投手陣も他チームに比べて抜けていますよ。
4番・野村佑希の覚醒で優勝もあり得るファイターズ
――2位予想のファイターズですが、その理由は?
ファイターズも打線が強みですよね。25本塁打のレイエスを筆頭に、清宮幸太郎、万波中正、アリエル・マルティネスも10本以上ホームランを打っている。これは相手投手としては脅威ですよね。
日本代表でホームラン打った水谷瞬も伸びしろのある選手だし、開幕で4番を打つ野村佑希が一気に覚醒してくれたら優勝も狙える可能性もありますよ。
――投手力はどうでしょうか?
加藤貴之、伊藤大海、山﨑福也の先発3本柱は盤石ですし、ゲームをしっかり作ることができる。
中継ぎもうまく機能すれば、ホークスを脅かすこともできると思います。
バファローズは岸田護監督の求心力で3位に
――バファローズの3位予想がちょっと意外だったのですが……。
今季から就任した岸田護監督がすごい求心力がある監督で、選手時代もコーチの時も選手をまとめるのが上手な人間だったらしいので、その手腕に期待しています。
前の中嶋聡監督が寡黙で厳しいタイプだったので、岸田監督のような求心力のあるタイプに代わることで、チームの士気を上げることができると思います。
――チーム力としては?
エース左腕・宮城大弥、エスピノーザは今年も安定していますし、広島東洋カープから加入した九里亜蓮もすごく順調に仕上がっていると聞いています。なので、投手陣はそこまで心配ないかと思います。
打線は森友哉がケガをして迫力に欠けますけど、3連覇したときの選手も残っていますし、うまく勝ち星を拾って最終的には3位に来てくれるかなと思っています。
佐々木朗希のメジャー移籍が痛手のマリーンズ
――昨季3位のマリーンズは4位予想。この理由は?
やはり佐々木朗希投手が抜けたことが大きいですよね。補強も石川柊太(元・福岡ソフトバンクホークス)ぐらいで、投手陣がまだまだ整っていないかと思います。
打線もソトやポランコといった外国人頼みなのも不安です。藤原恭大、山口航輝、ルーキーの西川史礁あたりが出てきてくれないとチームとして強くなっていかない。>苦しいゲームが多い一年になりそうですね。
ライオンズは高橋光成の復活に期待も、今年も貧打に…
――昨季、91敗で最下位だったライオンズは5位予想。まだ戦力的に厳しいでしょうか?
昨季は悲惨な状態でしたが、良くなってくると思います。
開幕投手の今井達也、隅田知一郎は順調ですし、昨年0勝で終わった高橋光成は10キロ減量してキレが戻ってきていると聞いています。
この3人は10勝以上を狙えると思うので、彼らでどれだけ勝ち星を重ねられるかですね。
良かったのは平良海馬がクローザーに戻ったことですかね。本人は先発をやりたいと言っていましたが、成績が出せなかった。彼は短いイニングで活きるタイプなので。
――貧打と言われている野手陣については?
フロントやコーチの中に、ライオンズは野手が勝手に育つという慢心があった気がします。
広角に長打を打てるルーキーの渡部聖弥など期待の選手はいますが、未知数。今季も同じように打てない状況は続くでしょう。
――西口文也監督はどんなタイプなのでしょうか?
努力しない、天才肌です(笑)。練習をせずにあれだけの実績を残したのはすごいことですよ。
きっと自分から「練習しろ」と言うタイプではないので、選手はのびのびとプレーできるとは思います。それが吉と出るか凶と出るかは分かりませんが……。
あとは、1軍ヘッドコーチの鳥越裕介、野手チーフ兼打撃コーチの仁志敏久がどう監督を支えていくかでしょうね。
チームとフロントの不協和音が影響しそうなイーグルス
――昨年4位のイーグルスを最下位予想されていますが?
これまでも監督交代で波紋はありましたが、昨季も今江監督はまずまずの成績を残していたのに解任された。
それと、昨季ショートで村林一輝をずっと使っていたのに、ドラフトで獲ったのはショートの宗山塁。宗山自体は良い選手ですが、村林からしたら不満もあるでしょう。
チームとフロントの関係性が嚙み合わなくなっている。こうした不協和音がチーム全体のムードに影響してくると思います。
打線も浅村栄斗が1人で頑張っている印象。島内宏明も落ち気味になっているし、今年は戦力的にも厳しいと思います。
デーブ大久保(でーぶ・おおくぼ)
1967年2月1日生まれ。茨城県出身。本名は大久保博元。1985年、西武ライオンズにドラフト1位で入団。アメリカ留学を経て、1992年に巨人へ移籍すると同年にセ・リーグ6月度月間MVP、オールスター出場を果たし、常勝軍団のムードメーカーとして活躍。94年には日本シリーズ出場。引退後はデーブカンパニーを設立し、2001年にはプロゴルファーとしてライセンスを取得。また、埼玉西武ライオンズ1軍打撃コーチ、東北楽天ゴールデンイーグルス2軍監督、1軍監督など指導者歴も豊富。現在は講演、野球教室やゴルフイベント、飲食店経営などマルチに活動。
Photo:Rika Matsukawa