山田大記(カールスルーエ)Vol.1「ドイツで身につけたプレーの変化。僕の現在を知ってほしい」
カールスルーエの駅から、待ち合わせのカフェまで走りに走った。ヨーロッパの街並みをバックに、季節外れの汗がにじむ。待ち合わせの1時間前に着く様、フランクフルト駅から電車に乗ったのに。想定外のことが起こるのが、海外の醍醐味でもある。それを乗り越えて、海外組の選手は逞しくなっていくのだろう。ジャストタイムでカフェに入ったら、知的な佇まいでコーヒーを飲んでいる山田大記選手を発見!
菊池 康平
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2017/02/23
山田:わざわざカールスルーエまで来て頂きありがとうございます!
――こちらこそありがとうございます。お話を聞けることを楽しみにしてきました。
山田:ジュビロ磐田のサポーターの方々にも、僕の現在を知って頂きたいので、色々話させて頂きますね。
――是非ともです! スパイクやギアの話以外にも色々と聞かせてください。ここに来るまで、駅から走ってきたのですが、日本とドイツの街並みの違いを感じました。となると、ピッチの違いもありますよね?
山田:かなり違いますね(笑)。カールスルーエのピッチは酷いんですよ。3、4年前は良かったようなのですが。
――どんな状態ですか?
山田:ボコボコでグチャグチャです。試合前日の練習後に、わざわざ監督が選手をスタジアムに連れて行って「試合会場の芝はこれだけ悪いから、気持ちが下がらないように。守備の選手は、絶対に(滑りにくい)取り替え式のスパイクを履け!」と言われたこともありましたね。
――それはかなり酷そうですね。芝は日本よりも深いのですか?
山田:深くて柔らかく、芝も長いです。カールスルーエと同じ、2部リーグに所属している1860ミュンヘンのアライアンスアリーナは、ジュビロ時代にプレーしていたヤマハスタジアムと似ているんですよ。芝が短くてボールが走るので、やりやすいですね。
それに比べると、カールスルーエのスタジアムの芝は長くて柔らかく、ボコボコで…なかなか酷いです(笑)。試合や練習を観に来てくれた方からまず言われるのは「グラウンド、ヤバいね!」という言葉です(笑)
――ボールコントロールの技術が発揮しづらい環境ですね。
山田:だからこそスキルが問われると思っています。ただ、ボールコントロールだけではどうにもならない部分があるのは確かです。日本にいた時はピッチも良く、スペースがあり、チームメイトも気の利いたパスを出してくれたので、とてもプレーしやすかったです。
でもドイツでは、ピッチや相手のプレッシャーの早さ、フィジカル強度、受けるパスにしてもぶつけるようなパスが来ることもあるので、単純な強度やコンタクトスキルがないと技術を発揮する前に潰されてしまいます。
――ドイツでは技術以外に、フィジカルや仲間とのイメージの共有など、様々な点で意識しないといけないんですね。
山田:はい。ドイツでは相手に身体を当てなければプレーできない環境でもあります。接触しない様にプレーしようとすると、ボールを受けられないです。もしくは下がって受けるしかなくて、ボールを受けてもバックパスしか出来なかったり。相手と当たりながらプレーしなければいけないので、技術以外のところを上げないと、どうにもならないんですよ。
――環境に順応すべく、色々なスキルを上げていかないと戦えない状況ですね。ポジションによっても、プレースタイルは変わりますよね?
山田:いまはボランチでプレーしているので、ボールを受ける回数も多いですし、前向きでボールを持つことも多いので、やりやすくなりました。昨シーズンはサイドハーフだったのですが、周りにたくさん選手がいて、欲しいタイミングでボールも来ないですし、来てもタイミングが遅れたりと大変でした。
日本の場合、スペースに入れば自然とボールが来るような場面でも、ドイツだとスペースで待っていて「パスコースあるよ!」と見せないと、ボールが来ないんですよ。周りが気の利いたパスを出せる選手ばかりではないので、やりにくい面もありますけど、だからこそ工夫していこうと考えています。
――グランドが悪く、相手の寄せも速いと、かなり判断力が養われるのでは?
山田:判断は速くはなりますね。今はあまりボールを持ちません。ドイツに来て思うのは(原口)元気を見ていてもそうですけど、1対1の状況を作らせてもらえないんです。うちのチームもそうですけど、サイドアタッカーに対して1対1の状況を作ってしまったら、攻撃側が圧倒的に有利なんです。
相手も、そこで抜かれたらピンチになることはわかっていますから。ドイツは戦術的にどのチームもしっかりしているので、サイドで1対1の形はほとんど作らせてもらえません。1試合で1回か2回くらいです。
――山田選手は、日本だと結構ドリブルをしていたイメージがあります。
山田:日本でプレーしていたときはドリブルもしていたのですが、ドイツでドリブラーとしてやっていくとなると、1人で相手を2人抜けるくらいでないとダメなんです。たとえ1人かわしても、2人目をかわしているうちに他の選手が戻ってきますから。ドイツではリベリーやロッベンのレベルじゃないと、ドリブラーとしてはやっていけないのではないかと思います。
だから、元気を見ていると順応していて、判断力も良くなっていますし、守備もすごくしているので、戦える選手になっていますよね。もしかしたら、日本でのイメージが強い人が僕や元気のプレーを見たら、あんまりドリブルしないなって思うかもしれません。でも、ドイツは前へ素早く攻める意識がすごく強いので、ドリブルをすると時間がかかってしまうという理由もあるんですよ。
(Vol.2に続く) 2月28日公開予定。
取材協力/株式会社バランススタイル
写真/清水知良(ジュビロ磐田)
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――こちらこそありがとうございます。お話を聞けることを楽しみにしてきました。
山田:ジュビロ磐田のサポーターの方々にも、僕の現在を知って頂きたいので、色々話させて頂きますね。
――是非ともです! スパイクやギアの話以外にも色々と聞かせてください。ここに来るまで、駅から走ってきたのですが、日本とドイツの街並みの違いを感じました。となると、ピッチの違いもありますよね?
山田:かなり違いますね(笑)。カールスルーエのピッチは酷いんですよ。3、4年前は良かったようなのですが。
――どんな状態ですか?
山田:ボコボコでグチャグチャです。試合前日の練習後に、わざわざ監督が選手をスタジアムに連れて行って「試合会場の芝はこれだけ悪いから、気持ちが下がらないように。守備の選手は、絶対に(滑りにくい)取り替え式のスパイクを履け!」と言われたこともありましたね。
――それはかなり酷そうですね。芝は日本よりも深いのですか?
山田:深くて柔らかく、芝も長いです。カールスルーエと同じ、2部リーグに所属している1860ミュンヘンのアライアンスアリーナは、ジュビロ時代にプレーしていたヤマハスタジアムと似ているんですよ。芝が短くてボールが走るので、やりやすいですね。
それに比べると、カールスルーエのスタジアムの芝は長くて柔らかく、ボコボコで…なかなか酷いです(笑)。試合や練習を観に来てくれた方からまず言われるのは「グラウンド、ヤバいね!」という言葉です(笑)
――ボールコントロールの技術が発揮しづらい環境ですね。
山田:だからこそスキルが問われると思っています。ただ、ボールコントロールだけではどうにもならない部分があるのは確かです。日本にいた時はピッチも良く、スペースがあり、チームメイトも気の利いたパスを出してくれたので、とてもプレーしやすかったです。
でもドイツでは、ピッチや相手のプレッシャーの早さ、フィジカル強度、受けるパスにしてもぶつけるようなパスが来ることもあるので、単純な強度やコンタクトスキルがないと技術を発揮する前に潰されてしまいます。
――ドイツでは技術以外に、フィジカルや仲間とのイメージの共有など、様々な点で意識しないといけないんですね。
山田:はい。ドイツでは相手に身体を当てなければプレーできない環境でもあります。接触しない様にプレーしようとすると、ボールを受けられないです。もしくは下がって受けるしかなくて、ボールを受けてもバックパスしか出来なかったり。相手と当たりながらプレーしなければいけないので、技術以外のところを上げないと、どうにもならないんですよ。
――環境に順応すべく、色々なスキルを上げていかないと戦えない状況ですね。ポジションによっても、プレースタイルは変わりますよね?
山田:いまはボランチでプレーしているので、ボールを受ける回数も多いですし、前向きでボールを持つことも多いので、やりやすくなりました。昨シーズンはサイドハーフだったのですが、周りにたくさん選手がいて、欲しいタイミングでボールも来ないですし、来てもタイミングが遅れたりと大変でした。
日本の場合、スペースに入れば自然とボールが来るような場面でも、ドイツだとスペースで待っていて「パスコースあるよ!」と見せないと、ボールが来ないんですよ。周りが気の利いたパスを出せる選手ばかりではないので、やりにくい面もありますけど、だからこそ工夫していこうと考えています。
――グランドが悪く、相手の寄せも速いと、かなり判断力が養われるのでは?
山田:判断は速くはなりますね。今はあまりボールを持ちません。ドイツに来て思うのは(原口)元気を見ていてもそうですけど、1対1の状況を作らせてもらえないんです。うちのチームもそうですけど、サイドアタッカーに対して1対1の状況を作ってしまったら、攻撃側が圧倒的に有利なんです。
相手も、そこで抜かれたらピンチになることはわかっていますから。ドイツは戦術的にどのチームもしっかりしているので、サイドで1対1の形はほとんど作らせてもらえません。1試合で1回か2回くらいです。
――山田選手は、日本だと結構ドリブルをしていたイメージがあります。
山田:日本でプレーしていたときはドリブルもしていたのですが、ドイツでドリブラーとしてやっていくとなると、1人で相手を2人抜けるくらいでないとダメなんです。たとえ1人かわしても、2人目をかわしているうちに他の選手が戻ってきますから。ドイツではリベリーやロッベンのレベルじゃないと、ドリブラーとしてはやっていけないのではないかと思います。
だから、元気を見ていると順応していて、判断力も良くなっていますし、守備もすごくしているので、戦える選手になっていますよね。もしかしたら、日本でのイメージが強い人が僕や元気のプレーを見たら、あんまりドリブルしないなって思うかもしれません。でも、ドイツは前へ素早く攻める意識がすごく強いので、ドリブルをすると時間がかかってしまうという理由もあるんですよ。
(Vol.2に続く) 2月28日公開予定。
取材協力/株式会社バランススタイル
写真/清水知良(ジュビロ磐田)
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