山田大記(カールスルーエ)インタビューVol.4 「日本代表に呼ばれたら出来る自信は、日本にいた時よりもある」
インタビューのラストはドイツでの生活、プレー面の手応え、そして日本代表にかける思いを存分に語ってもらった。
菊池 康平
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2017/03/06
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――ジュビロ時代、スパイクのどんな点に気を配っていましたか?
山田:実は、大学4年とプロ1年目のときに、両足の第五中足骨を負傷しているんです。いわゆるジョーンズ骨折です。ジュビロの大久保グラウンドは固いけれど、芝は凄く良くて、ミックスソールを履く必要がないほどでした。トレシューに近いような、細かいポイントがたくさん付いたパラメヒコライトの25本スタッドを履いていました。
こだわりは、中足骨の部分にステッチを入れてもらったことです。中足骨をケアする為に内側から伸び止めを入れてもらって、革が外に伸びないようにしてもらっていました。
――スパイクへのこだわりを感じます。ボールを蹴るときに意識していることはどんな点ですか?
山田:踏み込みの感覚を大切にしています。あとはボールタッチの感覚ですね。ボールをトラップしやすい革素材だと蹴りやすいですし、革がツルツルだとシュートの時に滑ってしまうような感覚があります。やはりトラップにしても、天然皮革の方がボールをとらえられる気がするんです。気持ちの問題かもしれないですが(笑)。
あとはスパイクを履いた時の重心にもこだわっています。スパイクを履いた時に重心が外に流れるのは好まないので、内側にしっかりと重心がかかることを意識しています。
――スパイク自体の重さは気にしますか?
山田:重視しているのは、重さよりも革の感覚ですね。今履いてるスパイクの重さは問題ないです。この革の感じで100g軽くなるなら、試してみたい気はしますが。
――ギアということでユニフォームの話を聞かせてください。ジュビロの1年目から10番をつけていましたが、背番号へのこだわりは?
山田:高校や大学でも最終学年などでは10番でした。10番は好きですし「つけていいよ」と言われたら、一番つけたい番号ですね。
――10番を背負っていると期待されるので、喜びがある反面、プレッシャーもあると思います。
山田:10番は居心地が良くて、プレッシャーを感じるとは思いません。プロである以上、良いプレーをしなければいけないことに変わりはないですから。つけられるならつけたい番号ですし、ジュビロで1年目から10番をもらった時は「いいのかな」と思う反面、「やってやるぞ!」という気持ちもありました。それに見合う様に頑張ろうと。
――プロ1年目、新加入で10番というのは、クラブから期待されていることの裏返しでもありますよね。
山田:1年目で10番をつけさせてもらいましたが、誰がどう見てもエースは前田(遼一)さんというのがあったので、気持ち的に楽な部分はありました。ただ、藤田俊哉さんや成岡翔さんなどがつけていた10番を背負うからには、変なプレーは出来ないという思いは強く持っていました。
――ドイツでの1年目は10番ではないですよね?
山田:カールスルーエの1年目は、空いている中からレギュラー番号が良いなと思い、9番を選びました。9番は小学生の時から何回かつけたことのある、縁がある番号です。2年目にクラブから「10番をつけるか?」と言われた時は嬉しかったです。10番は、特別なプレーをしなければいけないという気持ちになりますよね。
――このユニフォームを見たら悔しさを思い出すなどの、忘れられないユニフォームはありますか?
山田:全部に思い出があります。高校も大学もジュビロのユニフォームも。
――保管していたりするんですか?
山田:ジュビロ時代のユニフォームは、友人にあげたりサポーターの方などにプレゼントしたりもしましたが、それ以外のユニフォームは実家に残しています。ドイツに渡る時にジュビロのチームメイトが寄せ書きを書いてくれたユニフォームだけは、ドイツに持ってきてます。
――ユニフォーム交換をしたエピソードはありますか?
山田:佐藤寿人さんに、ユニフォームを交換して頂いたことがあります。「交換しよう」と言って頂いて、凄く嬉しかったです。Jリーグのときに唯一交換してもらった選手が、寿人さんなんです。大事に保管しています。ドイツでの1年目にボーフムと対戦した時に田坂祐介さんと交換させてもらったのも、嬉しかったです。
――サッカーのギアでこだわっている物はありますか?
山田:すね当てですね。イタリアの『カンパリ』のすね当てを使っています。大きくて広範囲にすねを守ってくれます。試合にもよりますが、ふくらはぎのところにパッドを入れることも多いです。
――それは、コンタクトが激しいドイツに来たからこそですか?
山田:そうですね。日本にいた時以上に必要性を感じます。足首にもガードがついてるものを使っているのですが、試合後にそこにガッと削られた跡があったりすると、プロテクトしてなかったらヤバかったんだろうなと思います。
――日本のアタッカーの選手の場合、小さいすね当てをしている選手もいるじゃないですか? 山田さんもそのタイプかと思っていました。
山田:意外と日本でもバチバチしてたんですよ。怪我が多いタイプだと思っているので、ケアには気を使っています。最近は食事も気にするようになりましたし。
――食事はどのあたりを気にしていますか?
山田:食べることが好きなので、週に一度、オフの日は好きなものを食べます。ただそれ以外の日には、グルテンや砂糖、乳製品などは摂らないようにしていたり、いくつか気を付けてる点があります。
体重や体脂肪率、体温を測ったり、睡眠の質が分かるアプリを使ったりしているのですが、結果が目に見えてすごく面白いんです。体重や体脂肪はもちろん、体温、睡眠の質まで食べた物に影響を受けてることがはっきり分かるんです。
――なるほど。身体のケアなど、日本にいた時と変わったことはありますか?
山田:練習後の筋トレや、家での半身浴、ストレッチなどは、日本にいた時から継続的にやっています。やはり1番変わったのは食事の面かなと思います。ドイツで外食をするとなると、日本のように和食屋さんや定食屋さんがある訳ではないので、どうしてもバランスが崩れてしまいます。
食事の本などを読んで勉強しながら色々試していて、自分なりのルールが出来てきているので、それを元に家で食べることがほとんどです。家では、妻がバランスを考えて作ってくれています。
――サッカーから離れますが、ドイツで聞いている日本の音楽などはありますか?
山田:Mr.Childrenさんとシクラメンさんが好きです。
シクラメンさんとはジュビロ時代にシーズンソングを担当してもらった縁で出会い、プライベートでも仲良くさせてもらっています。車の中や移動中のバスで、よく聴いています。
――シーズンソングといえば、ソナーポケットもゴールドラッシュもジュビロのシーズンソングを歌っていましたね。
山田:はい。ソナーポケットさんとゴールドラッシュさんの曲も、シーズンソングに限らず今でも聴くことがあります。ただ、基本的に音楽に詳しくないので、最近の日本の曲は全然わからないです(笑)スマホに入っている曲は日本にいた3年前からほとんどアップデートされてません。
――他に好きな物やこだわりはありますか?
山田:本とコーヒーが好きです。だから、どうにかドイツで1人でやってこれたのかもしれません(笑)今は妻が来てくれて色々と助かっていますが、1人だった時は、特にやる事もないし楽しみも少なかったので。
カフェで本を読んだり、ドイツ語の勉強をしたりする時間が、多少なりとも生活を有意義にしてくれていたと思います。 ただ日本にいた時よりも自分の時間が多いというのにはいい面もあって、自然とサッカーにかける時間が増えました。
――カフェではどんな本を読むのですか?
山田:小説、自己啓発本、ビジネス書、色々なジャンルの本を読みます。最近は食事やコンディショ二ングに関する本を読むことも多いです。食事や健康について書いてる本は、本によって書いてあることが正反対だったりもするので、最初は何を信じればいいのか混乱しました。でも最近は、その違いが生じる理由も理解できるようになったりして、コンディショ二ングに役立てられるようになりました。
――ひとりの時間を楽しむスキルは、海外で生活していく上で重要なことですよね。
山田:そうですね。1人で暇だったからこそドイツ語の勉強もやる気になれたのかなとも思います。海外にくると自然と1人の時間は増えるので、それをどう使うかはとても大切ですね
――今はドイツ語の通訳なしでやり取りしてるんですか?
山田:クラブは用意してくれていたのですが、最初から通訳は入れませんでした。英語は日本で少し勉強していてどうにかコミュニケーションはとれるレベルだったし、チームメイトもみんな英語を話せたので。英語を勉強してたのは本当によかったと思っています。
というのも、今シーズン加入してきたカメルーン人の選手が、ドイツ語はもちろん英語もほとんど話せなくて苦労しています。フランス語は話せるのですが、フランス語を話せるチームメイトは1人しかいないので。能力はすごく高いんですが結果として試合にもあまり出れていないんです。
――言葉の大切さがわかるエピソードですね。
山田:流暢に喋れなくても良いので、自分の思ったことを言えて、相手の言ってることを聞けるのは大事ですよね。結局、通訳の方には2年くらいドイツ語の家庭教師をしてもらいました。今はボランチをやっているので、余計に言葉の大切さを感じています。
――日本代表への思いを聞かせてください。
山田:日本代表は凄く意識していますが、なかなか僕の情報は日本へ届かないので、もしかしたらJ1で活躍した方が呼ばれる可能性は高いのかもとも思います。ただ、自分の中では日本にいた時よりも、代表に呼ばれた時に出来る自信があります。
ドイツで外国人とやっていますし、縦への速さも理解出来ました。どうすれば日本人が海外で勝てるかも、日本にいる時よりはイメージしやすいです。もちろんまだまだやらなければというのは大前提にありますが、1部に上がれていないことは実力として受け止めつつも、自分の中では手応えがあるんです。
――特に手応えを持てたのは、どのあたりでしょうか?
山田:ドイツのように、激しく、フィジカル的にもタフなリーグでボランチをやれていること。ドイツに来た1年目は、今のようにプレー出来ていなかったと思います。守備のところもやらせてもらえているのは、自信になっています。
――ドイツ語を覚えてボランチで試合に出ている姿を見ると、すごく充実していることが伺えます。最後に、日本の皆さんへ伝えたいことはありますか?
山田:ドイツで充実していることや、どういう風に日々を過ごしているのかなどを、ジュビロサポーターの皆さんや日本の方々に知ってもらいたいです。今はブンデスリーガの2部で戦っていますが、凄く高いレベルでやれていると強く思っています。試合に出られなかった時期もありましたが、凄く成長出来ていますし、充実していることを日々感じています。
――今回は色々な話を聞かせて頂き、ありがとうございました。
山田:ジュビロサポーターをはじめ、日本のみなさんに、僕の近況を知ってもらいたいと思っていたので良かったです。ありがとうございました。(了)
取材協力/株式会社バランススタイル
写真/清水知良(ジュビロ磐田)
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――ジュビロ時代、スパイクのどんな点に気を配っていましたか?
山田:実は、大学4年とプロ1年目のときに、両足の第五中足骨を負傷しているんです。いわゆるジョーンズ骨折です。ジュビロの大久保グラウンドは固いけれど、芝は凄く良くて、ミックスソールを履く必要がないほどでした。トレシューに近いような、細かいポイントがたくさん付いたパラメヒコライトの25本スタッドを履いていました。
こだわりは、中足骨の部分にステッチを入れてもらったことです。中足骨をケアする為に内側から伸び止めを入れてもらって、革が外に伸びないようにしてもらっていました。
――スパイクへのこだわりを感じます。ボールを蹴るときに意識していることはどんな点ですか?
山田:踏み込みの感覚を大切にしています。あとはボールタッチの感覚ですね。ボールをトラップしやすい革素材だと蹴りやすいですし、革がツルツルだとシュートの時に滑ってしまうような感覚があります。やはりトラップにしても、天然皮革の方がボールをとらえられる気がするんです。気持ちの問題かもしれないですが(笑)。
あとはスパイクを履いた時の重心にもこだわっています。スパイクを履いた時に重心が外に流れるのは好まないので、内側にしっかりと重心がかかることを意識しています。
――スパイク自体の重さは気にしますか?
山田:重視しているのは、重さよりも革の感覚ですね。今履いてるスパイクの重さは問題ないです。この革の感じで100g軽くなるなら、試してみたい気はしますが。
――ギアということでユニフォームの話を聞かせてください。ジュビロの1年目から10番をつけていましたが、背番号へのこだわりは?
山田:高校や大学でも最終学年などでは10番でした。10番は好きですし「つけていいよ」と言われたら、一番つけたい番号ですね。
――10番を背負っていると期待されるので、喜びがある反面、プレッシャーもあると思います。
山田:10番は居心地が良くて、プレッシャーを感じるとは思いません。プロである以上、良いプレーをしなければいけないことに変わりはないですから。つけられるならつけたい番号ですし、ジュビロで1年目から10番をもらった時は「いいのかな」と思う反面、「やってやるぞ!」という気持ちもありました。それに見合う様に頑張ろうと。
――プロ1年目、新加入で10番というのは、クラブから期待されていることの裏返しでもありますよね。
山田:1年目で10番をつけさせてもらいましたが、誰がどう見てもエースは前田(遼一)さんというのがあったので、気持ち的に楽な部分はありました。ただ、藤田俊哉さんや成岡翔さんなどがつけていた10番を背負うからには、変なプレーは出来ないという思いは強く持っていました。
――ドイツでの1年目は10番ではないですよね?
山田:カールスルーエの1年目は、空いている中からレギュラー番号が良いなと思い、9番を選びました。9番は小学生の時から何回かつけたことのある、縁がある番号です。2年目にクラブから「10番をつけるか?」と言われた時は嬉しかったです。10番は、特別なプレーをしなければいけないという気持ちになりますよね。
――このユニフォームを見たら悔しさを思い出すなどの、忘れられないユニフォームはありますか?
山田:全部に思い出があります。高校も大学もジュビロのユニフォームも。
――保管していたりするんですか?
山田:ジュビロ時代のユニフォームは、友人にあげたりサポーターの方などにプレゼントしたりもしましたが、それ以外のユニフォームは実家に残しています。ドイツに渡る時にジュビロのチームメイトが寄せ書きを書いてくれたユニフォームだけは、ドイツに持ってきてます。
――ユニフォーム交換をしたエピソードはありますか?
山田:佐藤寿人さんに、ユニフォームを交換して頂いたことがあります。「交換しよう」と言って頂いて、凄く嬉しかったです。Jリーグのときに唯一交換してもらった選手が、寿人さんなんです。大事に保管しています。ドイツでの1年目にボーフムと対戦した時に田坂祐介さんと交換させてもらったのも、嬉しかったです。
――サッカーのギアでこだわっている物はありますか?
山田:すね当てですね。イタリアの『カンパリ』のすね当てを使っています。大きくて広範囲にすねを守ってくれます。試合にもよりますが、ふくらはぎのところにパッドを入れることも多いです。
――それは、コンタクトが激しいドイツに来たからこそですか?
山田:そうですね。日本にいた時以上に必要性を感じます。足首にもガードがついてるものを使っているのですが、試合後にそこにガッと削られた跡があったりすると、プロテクトしてなかったらヤバかったんだろうなと思います。
――日本のアタッカーの選手の場合、小さいすね当てをしている選手もいるじゃないですか? 山田さんもそのタイプかと思っていました。
山田:意外と日本でもバチバチしてたんですよ。怪我が多いタイプだと思っているので、ケアには気を使っています。最近は食事も気にするようになりましたし。
――食事はどのあたりを気にしていますか?
山田:食べることが好きなので、週に一度、オフの日は好きなものを食べます。ただそれ以外の日には、グルテンや砂糖、乳製品などは摂らないようにしていたり、いくつか気を付けてる点があります。
体重や体脂肪率、体温を測ったり、睡眠の質が分かるアプリを使ったりしているのですが、結果が目に見えてすごく面白いんです。体重や体脂肪はもちろん、体温、睡眠の質まで食べた物に影響を受けてることがはっきり分かるんです。
――なるほど。身体のケアなど、日本にいた時と変わったことはありますか?
山田:練習後の筋トレや、家での半身浴、ストレッチなどは、日本にいた時から継続的にやっています。やはり1番変わったのは食事の面かなと思います。ドイツで外食をするとなると、日本のように和食屋さんや定食屋さんがある訳ではないので、どうしてもバランスが崩れてしまいます。
食事の本などを読んで勉強しながら色々試していて、自分なりのルールが出来てきているので、それを元に家で食べることがほとんどです。家では、妻がバランスを考えて作ってくれています。
――サッカーから離れますが、ドイツで聞いている日本の音楽などはありますか?
山田:Mr.Childrenさんとシクラメンさんが好きです。
シクラメンさんとはジュビロ時代にシーズンソングを担当してもらった縁で出会い、プライベートでも仲良くさせてもらっています。車の中や移動中のバスで、よく聴いています。
――シーズンソングといえば、ソナーポケットもゴールドラッシュもジュビロのシーズンソングを歌っていましたね。
山田:はい。ソナーポケットさんとゴールドラッシュさんの曲も、シーズンソングに限らず今でも聴くことがあります。ただ、基本的に音楽に詳しくないので、最近の日本の曲は全然わからないです(笑)スマホに入っている曲は日本にいた3年前からほとんどアップデートされてません。
――他に好きな物やこだわりはありますか?
山田:本とコーヒーが好きです。だから、どうにかドイツで1人でやってこれたのかもしれません(笑)今は妻が来てくれて色々と助かっていますが、1人だった時は、特にやる事もないし楽しみも少なかったので。
カフェで本を読んだり、ドイツ語の勉強をしたりする時間が、多少なりとも生活を有意義にしてくれていたと思います。 ただ日本にいた時よりも自分の時間が多いというのにはいい面もあって、自然とサッカーにかける時間が増えました。
――カフェではどんな本を読むのですか?
山田:小説、自己啓発本、ビジネス書、色々なジャンルの本を読みます。最近は食事やコンディショ二ングに関する本を読むことも多いです。食事や健康について書いてる本は、本によって書いてあることが正反対だったりもするので、最初は何を信じればいいのか混乱しました。でも最近は、その違いが生じる理由も理解できるようになったりして、コンディショ二ングに役立てられるようになりました。
――ひとりの時間を楽しむスキルは、海外で生活していく上で重要なことですよね。
山田:そうですね。1人で暇だったからこそドイツ語の勉強もやる気になれたのかなとも思います。海外にくると自然と1人の時間は増えるので、それをどう使うかはとても大切ですね
――今はドイツ語の通訳なしでやり取りしてるんですか?
山田:クラブは用意してくれていたのですが、最初から通訳は入れませんでした。英語は日本で少し勉強していてどうにかコミュニケーションはとれるレベルだったし、チームメイトもみんな英語を話せたので。英語を勉強してたのは本当によかったと思っています。
というのも、今シーズン加入してきたカメルーン人の選手が、ドイツ語はもちろん英語もほとんど話せなくて苦労しています。フランス語は話せるのですが、フランス語を話せるチームメイトは1人しかいないので。能力はすごく高いんですが結果として試合にもあまり出れていないんです。
――言葉の大切さがわかるエピソードですね。
山田:流暢に喋れなくても良いので、自分の思ったことを言えて、相手の言ってることを聞けるのは大事ですよね。結局、通訳の方には2年くらいドイツ語の家庭教師をしてもらいました。今はボランチをやっているので、余計に言葉の大切さを感じています。
――日本代表への思いを聞かせてください。
山田:日本代表は凄く意識していますが、なかなか僕の情報は日本へ届かないので、もしかしたらJ1で活躍した方が呼ばれる可能性は高いのかもとも思います。ただ、自分の中では日本にいた時よりも、代表に呼ばれた時に出来る自信があります。
ドイツで外国人とやっていますし、縦への速さも理解出来ました。どうすれば日本人が海外で勝てるかも、日本にいる時よりはイメージしやすいです。もちろんまだまだやらなければというのは大前提にありますが、1部に上がれていないことは実力として受け止めつつも、自分の中では手応えがあるんです。
――特に手応えを持てたのは、どのあたりでしょうか?
山田:ドイツのように、激しく、フィジカル的にもタフなリーグでボランチをやれていること。ドイツに来た1年目は、今のようにプレー出来ていなかったと思います。守備のところもやらせてもらえているのは、自信になっています。
――ドイツ語を覚えてボランチで試合に出ている姿を見ると、すごく充実していることが伺えます。最後に、日本の皆さんへ伝えたいことはありますか?
山田:ドイツで充実していることや、どういう風に日々を過ごしているのかなどを、ジュビロサポーターの皆さんや日本の方々に知ってもらいたいです。今はブンデスリーガの2部で戦っていますが、凄く高いレベルでやれていると強く思っています。試合に出られなかった時期もありましたが、凄く成長出来ていますし、充実していることを日々感じています。
――今回は色々な話を聞かせて頂き、ありがとうございました。
山田:ジュビロサポーターをはじめ、日本のみなさんに、僕の近況を知ってもらいたいと思っていたので良かったです。ありがとうございました。(了)
取材協力/株式会社バランススタイル
写真/清水知良(ジュビロ磐田)
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