東京オリンピックを懸けた決戦に挑む!~草野歩 インタビュー~
今週末(5月22・23日)に、『東京2020ビーチバレーボール日本代表チーム決定戦』が開催される。その名の通り、東京オリンピックの日本代表が決まる決戦だ!大学院にて博士課程を履修しながら、オリンピックを目指している草野歩(パソナグループ)に決戦に向けての意気込みを聞いた。
菊池 康平
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2021/05/20
※前回(昨年)のインタビューはこちら
オリンピック出場と博士号取得を目指す草野歩(ビーチバレー)の現在地 | King Gear [キングギア] (king-gear.com)
――いよいよ今週末5月22日・23日は「東京 2020 ビーチバレーボール日本代表チーム決定戦決定戦」ですね!会場はインドアコートなんですよね?
草野:会場はドーム立川立飛ですので、インドアですね。
――いつもはビーチなどアウトドアのコートで試合を行っていると思いますが、インドアの特徴は?
草野:もちろんいつもと同様に、地面はビーチ(砂)ですが、屋根付きのインドアの会場ですので、風がないということが大きいですし、雨にも影響されないですよね。
――インドアへの対策はしてきましたか?
草野:ペアの橋本さんがトヨタ自動車に所属しており、トヨタにはインドアのコートがあるので、そこで練習が出来たのは大きいです。
――草野・橋本ペアはインドアの方が得意などありますか?
草野:2人ともインドアのバレーボール経験は比較的あるので、有利と言えば有利かもしれません。
――先日(5月8日・9日)の大会(マイナビジャパンビーチバレーボールツアー)では準優勝でしたね。最近は調子が右肩上がりだと見受けられますが、いかがですか?
草野:もともと勝てなかったチームにも勝てたので、ここにきてだいぶ良くなっています。これまでに取り組んできたことが実ってきていて、チームとして調子が良いんです!私自身も最近は調子が良いんですよ。
――調子が良い理由は?
草野:だいぶ身体を絞りました。昨年12月からこの半年間は徹底的に身体を動かせるようにトレーニングの計画を立てて、筋肉量を維持したまま体脂肪だけで5Kg落としました。
――5Kg!!それは凄いですね!
草野:順調すぎるくらい落ちてくれたんです。動きも変わり、出来ることが増えて、今や半年前とは違う自分です。走れる距離が違うんですよ。
――昨年に話を聞いた際は「オリンピックの延期は残念ですが、1年間練習できる時間が増える」と仰ってましたが、実際にいかがでしたか?
草野:2020年の1月から橋本さんと組んでいますが、私達にとってはこの1年間延びたことで練習が出来て、準備する時間が増えたので凄く前向きに捉えています。
――幸か不幸か1年延びたことで、コミュニケーションや練習が出来たんですね。限られた時間の中で、何か工夫した点や意識したことなどはありますか?
草野:どのチームよりも絶対に良い時間を過ごそうと思って取り組んできました。
「お互いの出来ないところをカバーし合う・良い所を伸ばし合う」ことをかなり意識してきました。
反対に出来ないところを指摘し合ったり、気にしていくことは、絶対しないように心がけてきました。
――お互いに前向きな言葉を掛け合って切磋琢磨してきたんですね。大学院でコーチング学を学んでいることが、そういった考え方にも活きていますか?
草野:コーチングを学んでいたので、橋本さんに掛ける言葉やコミュニケーションの取り方はだいぶ役に立ちました。
――学ぶことが競技にもプラスに働いたんですね。
草野:かなりプラスだったと思います!
――今年は大学院の4年生ですが、状況は?
草野:当初からオリンピックが終わったら博論を書こうと思っていたので、延期になった時点で今年中に書き上げるのは無理だと思い切り替えました。
オリンピックが終わったら集中して書いていきます!
――練習と大学院のデュアルキャリアは順調ですか?
草野:今年は練習を最優先させてもらい、勉強はデータを取ったり、記録を取ることのみを中心にしています。
昨年から女性エリートコーチ育成のプログラムが始まり、定期的にその研修やコーチングのOJTを全てオンラインで受けています。
――競技の話に戻りますが、この1年強の中で上手くいかない期間や、生みの苦しみのような時期はありました?
草野:いや、そんなになかった気がします。2020年1月にペアを組んでからは、負けて当たり前というスタートだったんですよ。
周りは何年もオリンピックに向けて取り組んでいるチームばかりの中で、当時の私達はペアがいなくなってどん底でした。
2019年12月の時点では、お互い1人で試合にも出られない状況でした。当時はオリンピックに挑戦することすら無理かもしれない、と感じていたんです。
それを考えると、試合に出られていることや代表決定戦に出られるポイントがあるということだけでも、チャンスですし嬉しいことなんです。
ペアになった当初から「今は負けても最後の最後に良くなればいいよね」とよく話していました。
――まさにマイナスからのスタートだったんですね。
草野:それを考えると1年強でよくここまでこられたなと自信にはなっています。当初は大会でも常に初日で負けていましたから。
ーーこれまでに何度か試合を見ましたが、ビーチバレーはメンタルがかなり反映される競技ですよね。例えば、3連続で得点を許しても、心折れずに追いつき追い越す場面などはメンタルの部分も大きいんだろうなと感じまして。
草野:メンタルの部分は大きいです。今回の私達には怖いものは何もないんです。ランキング的にもポイント的にも勝たなきゃいけない状況ではないので。
私達は常に追いかける側で、次の試合もそうです。逆境になっても当たり前だと思って、チャレンジするしかないというメンタルで臨めると思います。他のどのチームよりも。
――オリンピックへの想いや捉え方はこの1年で変わりました?
草野:大学院に行って勉強をさせてもらえていることで、オリンピックだけが全てじゃないと思えているんです。
オリンピックが終わった後の人生で、1人の女性としてやりたいことも凄く沢山あります。考え方に余裕や幅が出来ました。
――自然体で臨めそうですね。ペアの橋本さんには、どんな言葉掛けをされていますか?
草野:「負けることが悪いことじゃない。でもとにかく悔いが残らないようにやれることはすべてやろう!」という声がけはしていました。
「勝たなきゃいけない」という言葉だとプレッシャーになってしまいますしね。私自身もそうです。
勝ちたいとは当たり前に思っていますが、一緒に出来ることに感謝して、自分が出来ることの精一杯の努力をしようと常に言っていました。
――最後に週末の決戦に向けて意気込みをお願いします。
草野:まずは体調を崩さないで万全な状態で試合に臨めるようにします。シードが低い私達が、ダークホースとして良い意味で大会を荒らして盛り上げられればと思います。頑張りますよ!!
今週末の決定戦の詳細
【公式】ビーチバレーボール日本代表チーム決定戦 2021.5/22(土)-23(日) (jva.or.jp)
草野歩選手のSNS
草野歩(@kusano_ayumi) • Instagram写真と動画
草野 歩さん (@kusano_ayumi) / Twitter
オリンピック出場と博士号取得を目指す草野歩(ビーチバレー)の現在地 | King Gear [キングギア] (king-gear.com)
――いよいよ今週末5月22日・23日は「東京 2020 ビーチバレーボール日本代表チーム決定戦決定戦」ですね!会場はインドアコートなんですよね?
草野:会場はドーム立川立飛ですので、インドアですね。
――いつもはビーチなどアウトドアのコートで試合を行っていると思いますが、インドアの特徴は?
草野:もちろんいつもと同様に、地面はビーチ(砂)ですが、屋根付きのインドアの会場ですので、風がないということが大きいですし、雨にも影響されないですよね。
――インドアへの対策はしてきましたか?
草野:ペアの橋本さんがトヨタ自動車に所属しており、トヨタにはインドアのコートがあるので、そこで練習が出来たのは大きいです。
――草野・橋本ペアはインドアの方が得意などありますか?
草野:2人ともインドアのバレーボール経験は比較的あるので、有利と言えば有利かもしれません。
――先日(5月8日・9日)の大会(マイナビジャパンビーチバレーボールツアー)では準優勝でしたね。最近は調子が右肩上がりだと見受けられますが、いかがですか?
草野:もともと勝てなかったチームにも勝てたので、ここにきてだいぶ良くなっています。これまでに取り組んできたことが実ってきていて、チームとして調子が良いんです!私自身も最近は調子が良いんですよ。
――調子が良い理由は?
草野:だいぶ身体を絞りました。昨年12月からこの半年間は徹底的に身体を動かせるようにトレーニングの計画を立てて、筋肉量を維持したまま体脂肪だけで5Kg落としました。
――5Kg!!それは凄いですね!
草野:順調すぎるくらい落ちてくれたんです。動きも変わり、出来ることが増えて、今や半年前とは違う自分です。走れる距離が違うんですよ。
――昨年に話を聞いた際は「オリンピックの延期は残念ですが、1年間練習できる時間が増える」と仰ってましたが、実際にいかがでしたか?
草野:2020年の1月から橋本さんと組んでいますが、私達にとってはこの1年間延びたことで練習が出来て、準備する時間が増えたので凄く前向きに捉えています。
――幸か不幸か1年延びたことで、コミュニケーションや練習が出来たんですね。限られた時間の中で、何か工夫した点や意識したことなどはありますか?
草野:どのチームよりも絶対に良い時間を過ごそうと思って取り組んできました。
「お互いの出来ないところをカバーし合う・良い所を伸ばし合う」ことをかなり意識してきました。
反対に出来ないところを指摘し合ったり、気にしていくことは、絶対しないように心がけてきました。
――お互いに前向きな言葉を掛け合って切磋琢磨してきたんですね。大学院でコーチング学を学んでいることが、そういった考え方にも活きていますか?
草野:コーチングを学んでいたので、橋本さんに掛ける言葉やコミュニケーションの取り方はだいぶ役に立ちました。
――学ぶことが競技にもプラスに働いたんですね。
草野:かなりプラスだったと思います!
――今年は大学院の4年生ですが、状況は?
草野:当初からオリンピックが終わったら博論を書こうと思っていたので、延期になった時点で今年中に書き上げるのは無理だと思い切り替えました。
オリンピックが終わったら集中して書いていきます!
――練習と大学院のデュアルキャリアは順調ですか?
草野:今年は練習を最優先させてもらい、勉強はデータを取ったり、記録を取ることのみを中心にしています。
昨年から女性エリートコーチ育成のプログラムが始まり、定期的にその研修やコーチングのOJTを全てオンラインで受けています。
――競技の話に戻りますが、この1年強の中で上手くいかない期間や、生みの苦しみのような時期はありました?
草野:いや、そんなになかった気がします。2020年1月にペアを組んでからは、負けて当たり前というスタートだったんですよ。
周りは何年もオリンピックに向けて取り組んでいるチームばかりの中で、当時の私達はペアがいなくなってどん底でした。
2019年12月の時点では、お互い1人で試合にも出られない状況でした。当時はオリンピックに挑戦することすら無理かもしれない、と感じていたんです。
それを考えると、試合に出られていることや代表決定戦に出られるポイントがあるということだけでも、チャンスですし嬉しいことなんです。
ペアになった当初から「今は負けても最後の最後に良くなればいいよね」とよく話していました。
――まさにマイナスからのスタートだったんですね。
草野:それを考えると1年強でよくここまでこられたなと自信にはなっています。当初は大会でも常に初日で負けていましたから。
ーーこれまでに何度か試合を見ましたが、ビーチバレーはメンタルがかなり反映される競技ですよね。例えば、3連続で得点を許しても、心折れずに追いつき追い越す場面などはメンタルの部分も大きいんだろうなと感じまして。
草野:メンタルの部分は大きいです。今回の私達には怖いものは何もないんです。ランキング的にもポイント的にも勝たなきゃいけない状況ではないので。
私達は常に追いかける側で、次の試合もそうです。逆境になっても当たり前だと思って、チャレンジするしかないというメンタルで臨めると思います。他のどのチームよりも。
――オリンピックへの想いや捉え方はこの1年で変わりました?
草野:大学院に行って勉強をさせてもらえていることで、オリンピックだけが全てじゃないと思えているんです。
オリンピックが終わった後の人生で、1人の女性としてやりたいことも凄く沢山あります。考え方に余裕や幅が出来ました。
――自然体で臨めそうですね。ペアの橋本さんには、どんな言葉掛けをされていますか?
草野:「負けることが悪いことじゃない。でもとにかく悔いが残らないようにやれることはすべてやろう!」という声がけはしていました。
「勝たなきゃいけない」という言葉だとプレッシャーになってしまいますしね。私自身もそうです。
勝ちたいとは当たり前に思っていますが、一緒に出来ることに感謝して、自分が出来ることの精一杯の努力をしようと常に言っていました。
――最後に週末の決戦に向けて意気込みをお願いします。
草野:まずは体調を崩さないで万全な状態で試合に臨めるようにします。シードが低い私達が、ダークホースとして良い意味で大会を荒らして盛り上げられればと思います。頑張りますよ!!
今週末の決定戦の詳細
【公式】ビーチバレーボール日本代表チーム決定戦 2021.5/22(土)-23(日) (jva.or.jp)
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