酒井高徳が語るギアVol.2「履きつぶしたスパイクが好きなので、試合で新品は履けないんです」
前回は、酒井高徳選手のスパイク遍歴について語ってもらった。今回はスパイクへのこだわりについて。スパイクへのこだわりは、サッカー選手として良いパフォーマンスを発揮するために、欠かせないものだ。酒井選手はどんなところにこだわって、スパイクを選んでいるのだろうか。
ミムラユウスケ
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2016/10/07
<インタビュー第1回はこちら>
――子どもの頃に、プロ選手のスパイクで目にとまったものはありましたか?
酒井高徳(以下、酒井):『カッコイイな』と思ったのは、ベッカムが履いていた“プレデター”シリーズです。今のスパイクにはもうないですけど、シュータン(注:靴のベロの部分)があって。それをグワっと引っ張って、ゴムを伸ばして止めているスタイルもよかったです。たしか“プレデター・マニア”だったと思うのですが、真っ赤に塗られているモデルがカッコよくて。すごく欲しかったのですが、当時の僕には値段のこともあって、手が出せなかったんです。
――ここまで話を聞いていると、赤いスパイクが好きなのでしょうか?
酒井:真っ赤なもの、赤い線が入っているもの、赤と白のもの……。あぁ、赤が好きですね(笑)
――となると、白地に赤い三本線の入っているハンブルガーSVのユニフォームもお気に入りなのですか?
酒井:このユニフォーム、好きですよ。『赤』という色は、僕のなかで強いイメージがあるので。
――スパイクの機能としてこだわっているのは?
酒井:こだわるとすれば、機能というより感覚ですね。これまでにもカーブをかけやすい機能をもったスパイクもありましたけど、僕は裸足に近い感覚で履くことが出来るかどうかを重視しているので、機能性よりも、自分の感覚に合うかどうかです。
――ということは、薄い素材の方が好みですか?
酒井:そうとも言えなくて、いわゆる“履きつぶした”スパイクが好みです。だから、新品のスパイクをすぐには履けないというか。1週間くらい練習で履き続けて、やっと試合で使える感じです。2週間あったら、完璧ですね。履いてからの期間が短いと、不安になります。
――それは、なぜでしょうか?
酒井:やはり新品のスパイクだと、ボールタッチやパスを出す際の感覚が全く違うので、上手く蹴れないと感じることがあって。新品だと、つま先の部分がまだ柔らかくなっていなかったりして、自分の思っているようなインパクトをボールに伝えられないこともありえますから。
――靴ひもは、きつく結ぶタイプですか?
酒井:きつい方ですね。かなりきつく結んでいるので、試合中に緩くなると、すぐに結び直したくなってしまうというか……。
――ハーフタイムに、スパイクを代える選手もいますが?
酒井:それがルーティンとなっている人もいるのかもしれませんが、僕はそういうことはしないです。
――ハーフタイムに靴ひもを締めなおしたりすることも?
酒井:『緩くなっているな』と感じたら結び直します。でも、ハーフタイムに入ってからも前半の感覚を忘れないように意識しているので、そのままにしておくことが多いです。僕は、試合に臨むにあたっての細かいルーティンはあまり多くない方だと思うのですが、バスに乗ってからスタジアムに着くまでには、意識していることがあります」
――具体的には?
酒井:バスの中では音楽を聞いて、好きな選手のプレー集などを見ます。そしてスタジアムに着いたら、選手の中で一番目か二番目にバスから降りないと嫌なんです。ロッカールームに着いてもすぐに着替えるのではなく、その試合のパンフレットなどを見ながら、バナナを口にしたりして。それが終わってから、着替えはじめます。あとは、先ほども言ったように、試合中の感覚にスパイクが上手くフィットしていたら、ハーフタイムで靴ひもをゆるめたくない。その状態を絶対に変えたくないという感じですね。
――ちなみに、左右どちらの足からピッチに入るかを決めている選手もいますが。
酒井:僕の場合、それはないですね。試合会場について、ロッカーを出るまでには色々ありますが、ロッカーを出てからは特にルーティンのようなものはありません。そこまできたら、いかにリラックスして試合に臨めるかを考えています。
(第3回に続く)
【プロフィール】 酒井高徳(さかいごうとく)1991年、新潟県出身。日本人の父親とドイツ人の母親を持ち、10歳のときにサッカーを始める。三条サッカースポーツ少年団、レザーFSジュニアユースを経て、アルビレックス新潟ユースに加入。2008年には2種登録選手として、天皇杯に出場した。2011年よりドイツ・ブンデスリーガでプレーし、シュツットガルトを経て、ハンブルガーSVでプレーしている。(2016年時点)
文・写真 ミムラユウスケ/プレー写真 清水和良
――子どもの頃に、プロ選手のスパイクで目にとまったものはありましたか?
酒井高徳(以下、酒井):『カッコイイな』と思ったのは、ベッカムが履いていた“プレデター”シリーズです。今のスパイクにはもうないですけど、シュータン(注:靴のベロの部分)があって。それをグワっと引っ張って、ゴムを伸ばして止めているスタイルもよかったです。たしか“プレデター・マニア”だったと思うのですが、真っ赤に塗られているモデルがカッコよくて。すごく欲しかったのですが、当時の僕には値段のこともあって、手が出せなかったんです。
――ここまで話を聞いていると、赤いスパイクが好きなのでしょうか?
酒井:真っ赤なもの、赤い線が入っているもの、赤と白のもの……。あぁ、赤が好きですね(笑)
――となると、白地に赤い三本線の入っているハンブルガーSVのユニフォームもお気に入りなのですか?
酒井:このユニフォーム、好きですよ。『赤』という色は、僕のなかで強いイメージがあるので。
――スパイクの機能としてこだわっているのは?
酒井:こだわるとすれば、機能というより感覚ですね。これまでにもカーブをかけやすい機能をもったスパイクもありましたけど、僕は裸足に近い感覚で履くことが出来るかどうかを重視しているので、機能性よりも、自分の感覚に合うかどうかです。
――ということは、薄い素材の方が好みですか?
酒井:そうとも言えなくて、いわゆる“履きつぶした”スパイクが好みです。だから、新品のスパイクをすぐには履けないというか。1週間くらい練習で履き続けて、やっと試合で使える感じです。2週間あったら、完璧ですね。履いてからの期間が短いと、不安になります。
――それは、なぜでしょうか?
酒井:やはり新品のスパイクだと、ボールタッチやパスを出す際の感覚が全く違うので、上手く蹴れないと感じることがあって。新品だと、つま先の部分がまだ柔らかくなっていなかったりして、自分の思っているようなインパクトをボールに伝えられないこともありえますから。
――靴ひもは、きつく結ぶタイプですか?
酒井:きつい方ですね。かなりきつく結んでいるので、試合中に緩くなると、すぐに結び直したくなってしまうというか……。
――ハーフタイムに、スパイクを代える選手もいますが?
酒井:それがルーティンとなっている人もいるのかもしれませんが、僕はそういうことはしないです。
――ハーフタイムに靴ひもを締めなおしたりすることも?
酒井:『緩くなっているな』と感じたら結び直します。でも、ハーフタイムに入ってからも前半の感覚を忘れないように意識しているので、そのままにしておくことが多いです。僕は、試合に臨むにあたっての細かいルーティンはあまり多くない方だと思うのですが、バスに乗ってからスタジアムに着くまでには、意識していることがあります」
――具体的には?
酒井:バスの中では音楽を聞いて、好きな選手のプレー集などを見ます。そしてスタジアムに着いたら、選手の中で一番目か二番目にバスから降りないと嫌なんです。ロッカールームに着いてもすぐに着替えるのではなく、その試合のパンフレットなどを見ながら、バナナを口にしたりして。それが終わってから、着替えはじめます。あとは、先ほども言ったように、試合中の感覚にスパイクが上手くフィットしていたら、ハーフタイムで靴ひもをゆるめたくない。その状態を絶対に変えたくないという感じですね。
――ちなみに、左右どちらの足からピッチに入るかを決めている選手もいますが。
酒井:僕の場合、それはないですね。試合会場について、ロッカーを出るまでには色々ありますが、ロッカーを出てからは特にルーティンのようなものはありません。そこまできたら、いかにリラックスして試合に臨めるかを考えています。
(第3回に続く)
【プロフィール】 酒井高徳(さかいごうとく)1991年、新潟県出身。日本人の父親とドイツ人の母親を持ち、10歳のときにサッカーを始める。三条サッカースポーツ少年団、レザーFSジュニアユースを経て、アルビレックス新潟ユースに加入。2008年には2種登録選手として、天皇杯に出場した。2011年よりドイツ・ブンデスリーガでプレーし、シュツットガルトを経て、ハンブルガーSVでプレーしている。(2016年時点)
文・写真 ミムラユウスケ/プレー写真 清水和良