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「全然うまくいってないけど、絶対自分なら大丈夫」原口元気、挫折の中でもがく理由

浦和レッズで当時最年少デビュー、ドイツで10年間プレー。日本代表としてロシアW杯でもゴールを決めた原口元気。そのキャリアは順風満帆に見えた。しかし今、原口は人生最大の挫折と向き合っている。今回は原口の挫折地点を振り返っていく。※トップ画像提供/NTTドコモ Sports Graphic Number

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若き日の自信と、ドイツでの苦闘

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画像提供/ NTTドコモ Sports Graphic Number

浦和レッズでのプロデビューは「やっときたな」という思いだったと語る原口。デビュー戦で内田篤人、次戦で長友佑都とマッチアップ。体ができあがっていない中でも「自信しかない感じだった」と、確固たる自信の中で試合に臨んでいた。

順調に日本代表入りも果たしたが、2012年ロンドン五輪、2014年ブラジルW杯では無念の落選。原口は、環境を変えるためドイツへ渡った。「浦和時代、攻撃的なプレーで勝負してきたが、ドイツでは俺ぐらいの能力を持った選手がたくさんいた」と、当時の状況を語る。生き残るため、プレースタイルを変え、守備でも貢献できる選手へと成長していった。

原口がドイツで通用する体づくりやプレー改善のために頼ったのが、現在、筑波大学人間総合科学研究科准教授を務める谷川聡だ。フィジカルトレーニングの面で谷川と二人三脚で取り組み、体の使い方を徹底的に学び直した。その努力が結びつき、厳しい戦いが続いたワールドカップロシア大会アジア最終予選において、原口は最も頼りになった選手といっても過言ではない。全10試合に出場しただけでなく、ワールドカップ最終予選としては日本史上初となる4試合連続得点を記録。ドイツでの経験が実を結び、大きなインパクトを残した。

最大の挫折―カタールW杯落選

しかし、4年後のカタールW杯。原口は「ワールドカップカタール大会のためにはなんでもやる」「これ以上ないモチベーションだった」と語るほどすべてをかけて臨んだが、まさかの代表落選。「朝起きて、ネットでメンバー見たら、名前がなかった」「初めて、自分自身が正気でいられないぐらい、自信がブチッとちぎれていく感覚を味わった」と、本音を漏らした。
それでも最後まで出場の可能性を信じ、準備を続けた。「どんな立場でもいいから、準備できてる」と関係者に伝えたが、呼ばれることはなかった。失意のなか、原口は「このままじゃダメだ」とシュトゥットガルトへの移籍を決めた。しかし監督交代もあり、ポジションを失い、出場機会は減少。再び苦しい日々が続いた。

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画像提供/ NTTドコモ Sports Graphic Number

自分を取り戻すために、古巣・浦和レッズへ

失った自信を取り戻すため、原口は2024年に古巣・浦和レッズへの復帰を決断。ヨーロッパにしがみつくより、何が自分にとって一番モチベーションが上がるのかを考え、「もう一度大きな挑戦がしたい」「やっぱり優勝に導きたい。それが自分自身の大きな、本当に最後のキャリアの課題だと思ってる」「昔のように貪欲にゴールに向かっていきたい」という強い思いで選んだ道だった。「簡単じゃない。20代前半のようには動けない時もある。でも諦めたら終わり」そう語りながら、原口はもがき続けている。思い描いたプレーができない苦しさを抱えながらも、諦めずに自分自身との戦いを重ねる日々だ。

「まだチャンスはあるので、もう一度輝いてそれ以上のインパクトがあるような活躍をしたい」「全然うまくいってないけど、絶対自分なら大丈夫だと思って」と語り、原口元気は今日も、前を向いて走り続けている。

『NumberTV』 挫折地点~あのとき前を向いた理由~

タイトル:#19 原口元気
配信日:2024年9月26日(木)0:00~ 全24回配信(月2回配信予定)
内容:トップアスリートの「挫折」と「復活」をテーマにしたドキュメンタリー番組。過去の写真が飾られた特別な空間(Number Room)で、アスリート本人がこれまでの人生を振り返り、挫折の瞬間や前を向けた理由について語る。

※記事内の情報は配信時点の情報です