「刺激がない」とZERO1・田中将斗に噛み付いた坂口征夫が 至宝奪回を目指す【4.12 新宿FACE】
3月の後楽園ホール大会、他団体に流出しているDDT最高峰のベルト「KO-D無差別級王座」を取り戻すべく、DDTプロレス・竹下幸之介はZERO1・田中将斗と一騎打ちに挑んだが、あえなく敗れ、至宝奪回はならなかった。 勝ち名乗りを受ける田中の前に現れたのが、坂口征夫。4月12日に新宿FACEにて行われるノーピープルTVマッチで田中と対戦する。その戦いを前に、DDTプロレスリングの坂口征夫に話を聞いた。
大楽聡詞
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2020/04/08
前編は、こちらからご覧ください。
――リング上のコスチュームやトレーニングの際のシューズなど、こだわりの「GEAR(道具)」があれば教えて下さい。
坂口:裸足ですね。試合を裸足で行うんですが、そこはこだわっています。それまではリングシューズを履いたり、ビブラムの五本指のシューズとか試しましたが、結果的に裸足になりました。いろいろ5,6年間は試していましたね。
――リング上で動くのには、裸足が一番しっくりくると言うことですか。
坂口:親しみのある柔道も総合も裸足の競技で、長く携わっていたから裸足が一番好きだというのと、プロレスだと場外に何が落ちているかも分からないのでリングシューズを履いている時期もあったんですけど、自分が一番こだわっているのは蹴りなんですよ。そのためにビブラムも含め、いろいろなものを無駄に買って。(笑)
さまざなレスリングシューズや靴をリングで試したんですけど、蹴りの軸の回転が裸足の状態がベストなんですよ。 レスリングシューズはグリップが効くので履いていてメリットがあります。グリップが効くと、高く遠い距離を跳べるんですが、自分の場合は蹴りを武器にしているので、軸の回転とスピードが大事なんです。
軸の回転で蹴るので、その軸がシューズを履いて蹴るとグリップが効いて止まってしまうんです。すると中途半端で「蹴りきれない」蹴りになってしまうんです。かといってシューズを履いて力を入れて蹴ると膝に負担をかけることになる。裸足だとナチュラルに蹴ることができるので、道具ではないですけど「裸足」にこだわってますね。(笑)
――試合前、決まったルーティンはありますか。
坂口:昔はありましたね。後楽園ホールで闘う前は、必ず近くの立食い蕎麦屋で食べましたけど。(笑)
今は入場時、フードを被れば臨戦態勢というか。ユニットの時はフードではないので、ガウンを着るとスイッチが入りますね。試合前、ガウンを着ると気持ちが引き締まります。
――今ユニットの話がありましたが、赤井選手、樋口選手と「イラプション」を結成しました。酒呑童子の時は男臭さを感じましたが、紅一点・赤井選手が加入しているので華やかに感じます。
坂口:自分と樋口だけだと、男臭さが倍増するので、赤井選手が一緒で本当に良かったと思います(笑)赤井選手とは付き合いが長いですけど、男みたいな性格しているので(笑)考え方はファイターであり男なので「女の子と話している」という感じはないですね。
――先日、初めてプロレス観戦する友達がイラプションの入場シーンを見て「あんなに細い体型の女性がプロレスしているの?」と話していました。ただ、試合は坂口選手が蹴り中心のスタイル、樋口選手がパワファイターということで、バランスが良いユニットという印象を受けました。
坂口:自分のデビュー2戦目で赤井さんとタッグを組んだり、プロレスの話をする機会が多く、女子特有のキャッキャする感じではなく、がっちりと戦うスタイルを好むんですよ。その辺りは「父親譲り(坂口征二)の血」なんですかね。
自分と樋口は「がっちり戦う試合」をしていて、赤井さんから「私もそういうスタイルの試合をしたい」と相談を受けました。やるのは誰でもできるけど、相手が女性ではなく男性なので、腹を括らなくちゃいけない。
「怪我もするだろうし、これまで以上に痛い思いもするんだよ」という話もしたけど、本人は「頑張ってみたい」とのこと。そのような流れで一緒にやることになりました。
たしかに入場は華やかになりました。でも最初、怪我の心配をしていました。最近は安心して見ています。痛いこともするし痛い思いもするけど、生き生きしている赤井さんの姿を見ると「好きなように闘っているんだな」と感じますね。樋口も含めて、もともと仲が良かったというのもありますけど、DDTを少しでも面白くできたらと思って闘っています。
―― 4月12日、田中将斗選手の持つKO-D無差別級のタイトルに挑戦します。昨年末のD王GPで対決し敗戦。その時「自分のペースに持ち込めなかった」とコメントしています。これは、どういった部分で持ち込めなかったのか教えていただけますか。
坂口: 自分が相手を仕留めにいく時のリズムがあるんですけど、それを全部崩された。サブミッションに入って痛めつけて、これで大人しくなるんだろうと思っても、スクッと立ち上がる。まるでゾンビですよね。
スタミナを削る作戦で行ったんですけど、こっちが「エンプティランプ」が付いているのに、田中選手はバイクみたいな予備タンクが付いている状況だったんですよ(笑) そこでペースを崩されていました。その後、他の選手と闘っている田中選手を見て、単純に寝ている時間がないんだと感じました。自分のペースに持ち込めなかったというのは、その部分ですよね。
――他の選手が田中選手と闘っているのを見て、どのように感じましたか。
坂口:直接対決した後のD王GP決勝の遠藤戦、KO-D無差別級タイトルマッチのHARASHIMA戦は、田中将斗、圧巻の勝利ですよね。「やっぱりこの人、休んでないし寝てない」わけですよ。それだけのエンジンを積んでいますね。終盤になってもバテないんですよ。かといって倒れている姿も、そんな印象がない。
ただ、竹下戦の時に「ちょっとペース落ちているのかな?」というのを、ふと感じたんですよ。それが何かは具体的に分からないんですけど、これまで見てきた田中選手の戦い方ではなかったと思います。それは竹下の戦略だったのかもしれない。戦略だったら学べば良い。そこにヒントがあるような気がしています。タイトルマッチまで残りの時間、研究し尽くしてやろうと思っています。
――やはり気をつけているのは、田中選手のフィニッシャーであるスライディングDですか。
坂口:気をつけているは、スタミナですね。エルボーに対してはD王GPの時にも見せた飛び十字がありますが、田中選手のスタミナを削りきれなかった(笑) 田中選手の技自体はシンプルなんですよ。言い方が悪いけど「タフマンコンテスト」みたいな、長距離走ですよね。(笑)
技に関しては、特別難しいことはしていないんです。田中選手には戦い方のリズムがあります。そしてやっぱりスタミナですよね。後半になるとギアが上がるんです。みんな4速のギアで走っているのに、あの人は2速で走っていますからね。こっちがバテてくると、田中選手はギアが3速になり、4速に上がりますから。
――4月12日は、同じユニットの樋口選手が遠藤選手の持つ「さいたまスーパーアリーナ・KO-D無差別級王座挑戦剣」に挑戦しますね。
坂口:元々、あの剣を見ていてカッコいいなと。(笑)入場の時に持って歩きたいな、なんて樋口と話をしていて、自分が取りに行こうと思っていたんです。
でも、3月の後楽園で竹下に勝利した田中選手が「刺激がない」と言ったのと、DDTの選手、誰も挑戦しにいかなかったじゃないですか。それが自分的には解せなくて「誰も行かないんだったら、俺が行かせてもらうよ」と。
それに樋口が剣に行けば、俺がベルトを獲って、6月のさいたまスーパーアリーナで戦えるという利点が合致した。ユニットで何か特別な動きをするつもりはないですけど、樋口が剣・自分がベルトに挑戦することで、それがユニットの一つの起点になれば良いと思います。
――試合後、田中選手へのKO-D挑戦というのは、最初から決めていたわけではないんですか。
坂口:竹下が勝つと思っていたんですよ。そういう時に勝つのが竹下じゃないですか、DDTの最後の砦といえば砦ですよね。それが試合見ていたら「あっ、負けた」と。 「次は誰がいくんだろう?」と思っていました。
「『いつどこ挑戦権』もあるのに誰も行かないの?」と、田中選手も思ったんでしょうね、「刺激がない」と言いましたし。 ただ、その言葉にイラッとしたんですよね。「誰も行かないなら俺が行く」という気持ちで行かせていただきました。
――今回、新型ウイルスの件で会場が変更になり、無観客で試合を行うことになりました。会場に足を運べないファンの方へのメッセージとタイトル挑戦への意気込みをお願いします。
坂口:お客さんは背中を押してくれる存在なので、「お客さんの前でDDTのベルトを取り戻すという姿を見せたかった」というのが第一にあります。
ただ、世の中がこういう状況なので仕方がないし、タイトルマッチが流れなかっただけ自分には利があると思っているので、モニターの前で見ているファンの方の想いも背負いながら、KO-DのベルトをDDTに取り戻します。
この情勢が、いつ終わるか分からないですけど、終息しファンの方が会場に足を運んでくれる時は、自分がベルトを巻いている姿を、お見せたいと思っています。
<インフォメーション>
王者田中将斗選手に、坂口征夫選手が挑むKO-D無差別級選手権。この試合「DDT UNIVERSE LIVE! MAX BUMP 2020」は、ノーピープルTVマッチとして4月12日、東京・新宿にある「新宿FACE」で行われます。
ご観戦は動画配信サービス「DDT UNIVERSE」で中継致します。 詳しくは、下記のDDTプロレスリング公式サイトをご覧ください。
URL:https://www.ddtpro.com/ddt
――リング上のコスチュームやトレーニングの際のシューズなど、こだわりの「GEAR(道具)」があれば教えて下さい。
坂口:裸足ですね。試合を裸足で行うんですが、そこはこだわっています。それまではリングシューズを履いたり、ビブラムの五本指のシューズとか試しましたが、結果的に裸足になりました。いろいろ5,6年間は試していましたね。
――リング上で動くのには、裸足が一番しっくりくると言うことですか。
坂口:親しみのある柔道も総合も裸足の競技で、長く携わっていたから裸足が一番好きだというのと、プロレスだと場外に何が落ちているかも分からないのでリングシューズを履いている時期もあったんですけど、自分が一番こだわっているのは蹴りなんですよ。そのためにビブラムも含め、いろいろなものを無駄に買って。(笑)
さまざなレスリングシューズや靴をリングで試したんですけど、蹴りの軸の回転が裸足の状態がベストなんですよ。 レスリングシューズはグリップが効くので履いていてメリットがあります。グリップが効くと、高く遠い距離を跳べるんですが、自分の場合は蹴りを武器にしているので、軸の回転とスピードが大事なんです。
軸の回転で蹴るので、その軸がシューズを履いて蹴るとグリップが効いて止まってしまうんです。すると中途半端で「蹴りきれない」蹴りになってしまうんです。かといってシューズを履いて力を入れて蹴ると膝に負担をかけることになる。裸足だとナチュラルに蹴ることができるので、道具ではないですけど「裸足」にこだわってますね。(笑)
――試合前、決まったルーティンはありますか。
坂口:昔はありましたね。後楽園ホールで闘う前は、必ず近くの立食い蕎麦屋で食べましたけど。(笑)
今は入場時、フードを被れば臨戦態勢というか。ユニットの時はフードではないので、ガウンを着るとスイッチが入りますね。試合前、ガウンを着ると気持ちが引き締まります。
――今ユニットの話がありましたが、赤井選手、樋口選手と「イラプション」を結成しました。酒呑童子の時は男臭さを感じましたが、紅一点・赤井選手が加入しているので華やかに感じます。
坂口:自分と樋口だけだと、男臭さが倍増するので、赤井選手が一緒で本当に良かったと思います(笑)赤井選手とは付き合いが長いですけど、男みたいな性格しているので(笑)考え方はファイターであり男なので「女の子と話している」という感じはないですね。
――先日、初めてプロレス観戦する友達がイラプションの入場シーンを見て「あんなに細い体型の女性がプロレスしているの?」と話していました。ただ、試合は坂口選手が蹴り中心のスタイル、樋口選手がパワファイターということで、バランスが良いユニットという印象を受けました。
坂口:自分のデビュー2戦目で赤井さんとタッグを組んだり、プロレスの話をする機会が多く、女子特有のキャッキャする感じではなく、がっちりと戦うスタイルを好むんですよ。その辺りは「父親譲り(坂口征二)の血」なんですかね。
自分と樋口は「がっちり戦う試合」をしていて、赤井さんから「私もそういうスタイルの試合をしたい」と相談を受けました。やるのは誰でもできるけど、相手が女性ではなく男性なので、腹を括らなくちゃいけない。
「怪我もするだろうし、これまで以上に痛い思いもするんだよ」という話もしたけど、本人は「頑張ってみたい」とのこと。そのような流れで一緒にやることになりました。
たしかに入場は華やかになりました。でも最初、怪我の心配をしていました。最近は安心して見ています。痛いこともするし痛い思いもするけど、生き生きしている赤井さんの姿を見ると「好きなように闘っているんだな」と感じますね。樋口も含めて、もともと仲が良かったというのもありますけど、DDTを少しでも面白くできたらと思って闘っています。
―― 4月12日、田中将斗選手の持つKO-D無差別級のタイトルに挑戦します。昨年末のD王GPで対決し敗戦。その時「自分のペースに持ち込めなかった」とコメントしています。これは、どういった部分で持ち込めなかったのか教えていただけますか。
坂口: 自分が相手を仕留めにいく時のリズムがあるんですけど、それを全部崩された。サブミッションに入って痛めつけて、これで大人しくなるんだろうと思っても、スクッと立ち上がる。まるでゾンビですよね。
スタミナを削る作戦で行ったんですけど、こっちが「エンプティランプ」が付いているのに、田中選手はバイクみたいな予備タンクが付いている状況だったんですよ(笑) そこでペースを崩されていました。その後、他の選手と闘っている田中選手を見て、単純に寝ている時間がないんだと感じました。自分のペースに持ち込めなかったというのは、その部分ですよね。
――他の選手が田中選手と闘っているのを見て、どのように感じましたか。
坂口:直接対決した後のD王GP決勝の遠藤戦、KO-D無差別級タイトルマッチのHARASHIMA戦は、田中将斗、圧巻の勝利ですよね。「やっぱりこの人、休んでないし寝てない」わけですよ。それだけのエンジンを積んでいますね。終盤になってもバテないんですよ。かといって倒れている姿も、そんな印象がない。
ただ、竹下戦の時に「ちょっとペース落ちているのかな?」というのを、ふと感じたんですよ。それが何かは具体的に分からないんですけど、これまで見てきた田中選手の戦い方ではなかったと思います。それは竹下の戦略だったのかもしれない。戦略だったら学べば良い。そこにヒントがあるような気がしています。タイトルマッチまで残りの時間、研究し尽くしてやろうと思っています。
――やはり気をつけているのは、田中選手のフィニッシャーであるスライディングDですか。
坂口:気をつけているは、スタミナですね。エルボーに対してはD王GPの時にも見せた飛び十字がありますが、田中選手のスタミナを削りきれなかった(笑) 田中選手の技自体はシンプルなんですよ。言い方が悪いけど「タフマンコンテスト」みたいな、長距離走ですよね。(笑)
技に関しては、特別難しいことはしていないんです。田中選手には戦い方のリズムがあります。そしてやっぱりスタミナですよね。後半になるとギアが上がるんです。みんな4速のギアで走っているのに、あの人は2速で走っていますからね。こっちがバテてくると、田中選手はギアが3速になり、4速に上がりますから。
――4月12日は、同じユニットの樋口選手が遠藤選手の持つ「さいたまスーパーアリーナ・KO-D無差別級王座挑戦剣」に挑戦しますね。
坂口:元々、あの剣を見ていてカッコいいなと。(笑)入場の時に持って歩きたいな、なんて樋口と話をしていて、自分が取りに行こうと思っていたんです。
でも、3月の後楽園で竹下に勝利した田中選手が「刺激がない」と言ったのと、DDTの選手、誰も挑戦しにいかなかったじゃないですか。それが自分的には解せなくて「誰も行かないんだったら、俺が行かせてもらうよ」と。
それに樋口が剣に行けば、俺がベルトを獲って、6月のさいたまスーパーアリーナで戦えるという利点が合致した。ユニットで何か特別な動きをするつもりはないですけど、樋口が剣・自分がベルトに挑戦することで、それがユニットの一つの起点になれば良いと思います。
――試合後、田中選手へのKO-D挑戦というのは、最初から決めていたわけではないんですか。
坂口:竹下が勝つと思っていたんですよ。そういう時に勝つのが竹下じゃないですか、DDTの最後の砦といえば砦ですよね。それが試合見ていたら「あっ、負けた」と。 「次は誰がいくんだろう?」と思っていました。
「『いつどこ挑戦権』もあるのに誰も行かないの?」と、田中選手も思ったんでしょうね、「刺激がない」と言いましたし。 ただ、その言葉にイラッとしたんですよね。「誰も行かないなら俺が行く」という気持ちで行かせていただきました。
――今回、新型ウイルスの件で会場が変更になり、無観客で試合を行うことになりました。会場に足を運べないファンの方へのメッセージとタイトル挑戦への意気込みをお願いします。
坂口:お客さんは背中を押してくれる存在なので、「お客さんの前でDDTのベルトを取り戻すという姿を見せたかった」というのが第一にあります。
ただ、世の中がこういう状況なので仕方がないし、タイトルマッチが流れなかっただけ自分には利があると思っているので、モニターの前で見ているファンの方の想いも背負いながら、KO-DのベルトをDDTに取り戻します。
この情勢が、いつ終わるか分からないですけど、終息しファンの方が会場に足を運んでくれる時は、自分がベルトを巻いている姿を、お見せたいと思っています。
<インフォメーション>
王者田中将斗選手に、坂口征夫選手が挑むKO-D無差別級選手権。この試合「DDT UNIVERSE LIVE! MAX BUMP 2020」は、ノーピープルTVマッチとして4月12日、東京・新宿にある「新宿FACE」で行われます。
ご観戦は動画配信サービス「DDT UNIVERSE」で中継致します。 詳しくは、下記のDDTプロレスリング公式サイトをご覧ください。
URL:https://www.ddtpro.com/ddt