
英雄たちが愛した歴史的スパイクVOL.56 「ディエゴ様の遺品編」
ディエゴ様が天国に行かれてはや半年が経ちますが、もともと別世界の英雄だっただけに個人的にはこの世におられないことが未だにピンと来ない感じです。ただ、ご本人が所有していたものは遺品となり、表紙画像のスパイクもそのひとつだそうです。意外にも日本製のプーマモデルを長い間、大事に保存されておられたようです。

ディエゴ様はアルゼンチンのご自宅にたくさんの秘蔵コレクションを保有していたことは、今でも映像で確認できます(参考動画1、2)。
現役時代のコレクションの多くは、おそらくそのまま残されていたようで、ディエゴ様の晩年は、元妻のクラウディアさんとその所有権で争いがあったとのことです(参考サイト)。
図1 ご自宅でインタビューを受ける現役晩年(94年W杯以後)のディエゴ様。おびただしい数のユニフォームを所有されています。
ディエゴ様が亡くなられて、これらの遺品の所有権が元妻や娘さんたちで争われ、裁判案件になっているようで、なんと200以上の遺品がリスト化されていました(参考サイト)。
図2はその一部で、図1のクローゼット内のお宝の一部のようです。ユニフォーム交換された名選手のお名前がずらーっと並んでいます。

図2 ディエゴ様の遺品リストの一部。ジーコ選手、カレッカ選手、リネカー選手、キーガン選手、マテウス選手などなど、そうそうたる名選手たちのユニフォームがあります。
図3 当然、ご自身のユニフォームもありますが、交換してしまうため意外と数は少ないのかもしれません。こちらは94年W杯アメリカ大会のギリシャ戦のものでしょうか。W杯で最後に得点した試合ですね。

図4 代表戦のみならず、有名クラブの名選手のユニフォームもたくさんあります。
その中には日本人サッカーファンは見慣れた「GEORGIA」のロゴが! 実弟ウーゴ選手のPJMフューチャーズ、札幌、福岡時代のユニフォームもちゃんとお兄さんはお持ちでした。
さて、ディエゴ様とユニフォーム交換したかった選手がたくさんいたのは当然なので、様々なチームのユニフォームがたくさんあるのはある意味当たり前ですが、個人的にはリストに含まれているスパイクがめちゃくちゃ気になりました。 目を凝らして探してみると6足ありました(図5)
図5 スペイン語でスパイク(Boots)は「BOTINES」で、リスト番号11から16がスパイクのようです。アディダスが1足とプーマが5足で、「KONGA」が2足あります。FOTO4の一枚がおそらく表紙の画像で、「CONGA」であることがわかります。
リストには「KONGA」とあり、「MADE IN WEST GERMANY」と記されていますが、おそらく「DESIGN PUMA WEST GERMANY」とシュータンに記されていたので、西ドイツ製と記したのだと思います。
こちらにも記しましたが、この「コンガ(CONGA)」はメキシコW杯終了後に発売された日本製のモデルで、ディエゴ様が87か88年にゼロックススーパーサッカーで来日された時のCM撮影時で使われていました。
多分、この時にこのモデルを気に入られて、イタリアへ持ち帰って実際に履いていたと思われます(図6~8)。

図6 懐かしいゼロックスのテレフォンカード(上)と「コンガ」の広告。西ドイツ製モデルや、パラメヒコよりも安いが、カンガルー革のコスパのよいモデルだったと記憶しています。
図7 当時、ディエゴ様を撮影された今井恭司さんの写真集「写蹴」の画像。図6上ではスパイクの種類が不明ですが、黄金の左足とスパイクのアップ写真(左)を見ると、スパイクのモデルは「コンガ」であることがわかります。
実際に「コンガ」を履いて試合をしている画像は見たことがありませんが、練習では確かにお使いだったようです(図8)。

図8 代表戦(左)、ナポリ(右)のトレーニングで「コンガ」を履いているディエゴ様。

図9 2005年にナポリで開催されたマラドーナ博物館でも「コンガ」が展示されていました。
残念ながら「コンガ」以外のスパイクコレクションの画像は見当たらなかったので、他の種類についてもぜひ公開してほしいものです。 やはりこちらのお宝もあるんでしょうねえ…。
さて、クラウディアさんが管理されているディエゴ様の遺品は当然現役時代の物が多いと思いますが、晩年のものについては以前お住まいだったUAEのドバイからブエノスアイレスへ移動したという記事がこちらに載っていました(図10)。
図10 こちらは引退後の所有物が多いようですが、マラドーナモデルのスパイクが含まれているようです。おそらく復刻版だと思われます。
このような正真正銘のディエゴ様が所有していた本物のお宝が一般に出回ることはまずありえないとは思いますが、スター選手の実使用アイテムのオークションサイトは数多く存在するようです。
先日、お知り合いから「これは本物ですか?」と質問されたディエゴ様実使用スパイクが図11、12です。だいたい、このたぐいのオークションに出品されているモデルは、あきらかに実戦では使っていないとわかるシグネチャーモデルなんかが多いのですが、今回のモデルは当時の多くのプロ選手も愛用したプーマの西ドイツ製「WM」でした。
出品されたスパイクは、86年W杯のウルグアイ戦の「match issued」(その試合用に用意されたもの)で、実際に使用した「match worn」ではないとのことですが、富越正秀さんの撮影されたウルグアイ戦の画像も比較として載っていました。

図11 こちらに出品されたディエゴ様実使用モデル(左)。以前、こちらで西ドイツ製プーマのシュータンデザインについて説明したことがありますが、ウルグアイ戦使用モデル(右)と出品のモデルは、矢印のプーマの動物の位置が違います。
また、ディエゴ様が「アルゼンチン結び」をしている時のスパイクはヒモ穴が7つの場合が多いですが、出品モデルのヒモ穴は8つあります。ちなみにディエゴ様が珍しく普通の結び方をしている時のスパイクのヒモ穴は8つのことが多いようです。

図12 側面の縫い目(矢印)も出品のモデルとウルグアイ戦のモデルでは異なっています。
ただ、ウルグアイ戦実使用ではないことは判別できますが、出品のモデルがディエゴ様のものか、誰かの履き古しかは正直わかりません。 お宝の鑑定士にはなれませんね。
結果的にこのお品は3000ドルスタートで、倍ぐらいの価格で落札されていました。 W杯で履いたものならそれの10倍はするらしいです。
私のようなものには近寄れない世界ですので、なんとか国内に残っているかもしれない「コンガ」を発見できればと思います。
現役時代のコレクションの多くは、おそらくそのまま残されていたようで、ディエゴ様の晩年は、元妻のクラウディアさんとその所有権で争いがあったとのことです(参考サイト)。

ディエゴ様が亡くなられて、これらの遺品の所有権が元妻や娘さんたちで争われ、裁判案件になっているようで、なんと200以上の遺品がリスト化されていました(参考サイト)。
図2はその一部で、図1のクローゼット内のお宝の一部のようです。ユニフォーム交換された名選手のお名前がずらーっと並んでいます。

図2 ディエゴ様の遺品リストの一部。ジーコ選手、カレッカ選手、リネカー選手、キーガン選手、マテウス選手などなど、そうそうたる名選手たちのユニフォームがあります。

図3 当然、ご自身のユニフォームもありますが、交換してしまうため意外と数は少ないのかもしれません。こちらは94年W杯アメリカ大会のギリシャ戦のものでしょうか。W杯で最後に得点した試合ですね。

図4 代表戦のみならず、有名クラブの名選手のユニフォームもたくさんあります。
その中には日本人サッカーファンは見慣れた「GEORGIA」のロゴが! 実弟ウーゴ選手のPJMフューチャーズ、札幌、福岡時代のユニフォームもちゃんとお兄さんはお持ちでした。
さて、ディエゴ様とユニフォーム交換したかった選手がたくさんいたのは当然なので、様々なチームのユニフォームがたくさんあるのはある意味当たり前ですが、個人的にはリストに含まれているスパイクがめちゃくちゃ気になりました。 目を凝らして探してみると6足ありました(図5)

リストには「KONGA」とあり、「MADE IN WEST GERMANY」と記されていますが、おそらく「DESIGN PUMA WEST GERMANY」とシュータンに記されていたので、西ドイツ製と記したのだと思います。
こちらにも記しましたが、この「コンガ(CONGA)」はメキシコW杯終了後に発売された日本製のモデルで、ディエゴ様が87か88年にゼロックススーパーサッカーで来日された時のCM撮影時で使われていました。
多分、この時にこのモデルを気に入られて、イタリアへ持ち帰って実際に履いていたと思われます(図6~8)。

図6 懐かしいゼロックスのテレフォンカード(上)と「コンガ」の広告。西ドイツ製モデルや、パラメヒコよりも安いが、カンガルー革のコスパのよいモデルだったと記憶しています。

実際に「コンガ」を履いて試合をしている画像は見たことがありませんが、練習では確かにお使いだったようです(図8)。

図8 代表戦(左)、ナポリ(右)のトレーニングで「コンガ」を履いているディエゴ様。

図9 2005年にナポリで開催されたマラドーナ博物館でも「コンガ」が展示されていました。
残念ながら「コンガ」以外のスパイクコレクションの画像は見当たらなかったので、他の種類についてもぜひ公開してほしいものです。 やはりこちらのお宝もあるんでしょうねえ…。
さて、クラウディアさんが管理されているディエゴ様の遺品は当然現役時代の物が多いと思いますが、晩年のものについては以前お住まいだったUAEのドバイからブエノスアイレスへ移動したという記事がこちらに載っていました(図10)。

このような正真正銘のディエゴ様が所有していた本物のお宝が一般に出回ることはまずありえないとは思いますが、スター選手の実使用アイテムのオークションサイトは数多く存在するようです。
先日、お知り合いから「これは本物ですか?」と質問されたディエゴ様実使用スパイクが図11、12です。だいたい、このたぐいのオークションに出品されているモデルは、あきらかに実戦では使っていないとわかるシグネチャーモデルなんかが多いのですが、今回のモデルは当時の多くのプロ選手も愛用したプーマの西ドイツ製「WM」でした。
出品されたスパイクは、86年W杯のウルグアイ戦の「match issued」(その試合用に用意されたもの)で、実際に使用した「match worn」ではないとのことですが、富越正秀さんの撮影されたウルグアイ戦の画像も比較として載っていました。

図11 こちらに出品されたディエゴ様実使用モデル(左)。以前、こちらで西ドイツ製プーマのシュータンデザインについて説明したことがありますが、ウルグアイ戦使用モデル(右)と出品のモデルは、矢印のプーマの動物の位置が違います。
また、ディエゴ様が「アルゼンチン結び」をしている時のスパイクはヒモ穴が7つの場合が多いですが、出品モデルのヒモ穴は8つあります。ちなみにディエゴ様が珍しく普通の結び方をしている時のスパイクのヒモ穴は8つのことが多いようです。

図12 側面の縫い目(矢印)も出品のモデルとウルグアイ戦のモデルでは異なっています。
ただ、ウルグアイ戦実使用ではないことは判別できますが、出品のモデルがディエゴ様のものか、誰かの履き古しかは正直わかりません。 お宝の鑑定士にはなれませんね。
結果的にこのお品は3000ドルスタートで、倍ぐらいの価格で落札されていました。 W杯で履いたものならそれの10倍はするらしいです。
私のようなものには近寄れない世界ですので、なんとか国内に残っているかもしれない「コンガ」を発見できればと思います。