前田遼一、コパ・ムンディアルを大いに語るVol.1「一番の魅力は、変わらないこと」
アディダスの名品『コパ・ムンディアル』。発売から34年のロングセラーであり、古き良きスパイクの香り醸す一品を、10年以上履き続けているJリーガーがいる。それが、FC東京の前田遼一選手だ。コパ・ムンディアルのなにが、日本を代表するストライカーを惹きつけるのだろうか?
鈴木 智之
|
2016/10/17
(コパ・ムンディアルを手に持って、前田選手が登場)
――スパイク、ピカピカですね。そして何よりサイズが! こんなに大きなスパイク、初めて見ました。
前田:28.5cmありますから(笑)。プロになった頃は、足にピタッとする小さめのサイズを履いていたんですけれど、最近は締め付けのないサイズにしているんです。足がリラックスした状態の方が好きなんですよね。
――前田選手がコパ・ムンディアルを履くことになったきっかけは、何だったのでしょう?
前田:僕はプロ3年目からアディダスと契約させていただいているのですが、最初は他のモデルを履いていたんです。当時のスパイクのポイントは、刃型がメインで丸いものがあまりなかったんです。その影響なのかはわからないのですが、膝を痛めることが多くて。何か良いものはないかなと探していたときに、当時コパ・ムンディアルを履いていた藤田俊哉さんや清水範久さんに「履いてみれば?」と薦められたのがきっかけです。
――今回のインタビューは「前田遼一、コパ・ムンディアルを大いに語る」というテーマでして、コパ・ムンディアルは名品の誉れ高い、アディダスのロングセラーです。Jリーガーでコパ・ムンディアルを履いているのは、前田選手しかいないと言われていまして、コパ・ムンディアルにおける「ラスト・サムライ」なわけです。
前田:そうなんですか(笑)
――コパ・ムンディアルは、1982年に発売されたモデルで、今年(2016年)で発売から34年になります。1981年生まれの前田選手と同世代ですよね。
前田:そうですね。初めて知りました(笑)
――コパ・ムンディアルのどこが気にいってますか?
前田:一番は変わらないこと。いまはどんどん新しいモデルが出て、デザインや色、機能などが次々に変わっていく中で、コパ・ムンディアルはずっと同じ形であるというのが一番ですね。
――多くの選手が、メーカーから新製品が出るたびに「今度はこれを履いてください」と言われ、新しいスパイクを履きます。前田選手の場合、「コパ・ムンディアルではなく、新製品を履いてくれませんか?」と言われることはないのですか。
前田:それは、ありますね。昔は練習で新しいスパイクを試すこともあったのですが、やっぱりコパ・ムンディアルの方がいいなと思って、アディダスの人に「すみません、コパ・ムンディアルを履きます」と言って、履かせてもらっています。
――何がそこまで、前田選手を魅了するのでしょう?
前田:ひとつは色ですね。いまはカラフルなスパイクがたくさん出ていますが、僕の中でスパイクというと黒なんです。それと、天然皮革を使っていること。カンガルーの革を使っていて、柔らかいところも気に入っています。あとは、ポイントですね。これが結構大事で、丸い型をしているので、足腰への負担も少ない気がします。
――コパ・ムンディアルを履いていることで、若い選手から何か言われたりはしませんか?
前田:けっこう言われます。「いまの時代に合ってないよ」とか(笑)。いまのスパイクは色も鮮やかで、かっこいいじゃないですか。見ての通り、コパムンは地味ですから。いまでも、若手が冗談っぽくいじってきますね。
――そういう時は、何と言い返すんですか?
前田:「これはこれでいいんだよ。いまさら変えられないよ」と言っています。中学時代から、黒のスパイクを履いていますし、プロになってから白いスパイクを履いたこともあったんですけれど、それもわずかな期間で、ここ10年ほどはずっと黒いコパムンですからね。
――年間、何足ぐらい履きますか?
前田:8足ぐらいかな。
――スパイクを替えるタイミングは?
前田:ポイントが削れてきたときと、革が伸びるというか、柔らかくなりすぎたら替えます。1ヵ月に1回ぐらいは替えています。そうすると、1年で8足ではなくて、もっと履いているかもしれませんね。
――スパイクに刺繍を入れる選手もいるじゃないですか。前田選手は入れたりはしないのですか?
前田:申し訳なくて、アディダスの人に頼めないです(笑)。そもそも新製品ではなく、頼みこんでコパムンを履かせてもらっているわけですから。
――先日、キングギアでプーマの名品『パラメヒコ』を愛用している、播戸竜二選手のインタビューをしたのですが、彼は「日本代表に選ばれた時に、刺繍を入れてもらった」と言っていました。それまでは、刺繍を入れてくださいと言えなかったらしんです。
前田:そういう話を聞くと、僕も代表に入ったときに刺繍を入れてもらえばよかったと思いますね(笑)
<Vol.2に続く>
<プロフィール> 前田遼一(まえだ・りょういち)1981年生まれ。暁星中学-暁星高校-ジュビロ磐田-FC東京。2009年、2010年と2年連続でJ1リーグ得点王&ベストイレブンを獲得。日本代表33試合出場10得点。J1リーグ通算151点(2016年9月時点)
インタビュー文・写真 鈴木智之&編集部、写真編集 榎本貴浩
<合わせて読みたい>
黒革の矜持 第3回 播戸竜二×パラメヒコ「日本代表に入るまでは、スパイクに刺繍を入れないと決めていた」
adidas FOOTBALL CAMPAIGN EVENT フットボールクリニック編。香川と清武が履くアディダススパイク紹介。
マイ・ファースト・スパイク ユ・インス(FC東京)Vol.1 「高校時代の先輩のススメもあり、日本のサッカースタイルを学びたかった」
酒井高徳が語るギアVol.1「初めて履いたアディダスの“ファルカス”は、史上最高のスパイクだと思った」
――スパイク、ピカピカですね。そして何よりサイズが! こんなに大きなスパイク、初めて見ました。
前田:28.5cmありますから(笑)。プロになった頃は、足にピタッとする小さめのサイズを履いていたんですけれど、最近は締め付けのないサイズにしているんです。足がリラックスした状態の方が好きなんですよね。
――前田選手がコパ・ムンディアルを履くことになったきっかけは、何だったのでしょう?
前田:僕はプロ3年目からアディダスと契約させていただいているのですが、最初は他のモデルを履いていたんです。当時のスパイクのポイントは、刃型がメインで丸いものがあまりなかったんです。その影響なのかはわからないのですが、膝を痛めることが多くて。何か良いものはないかなと探していたときに、当時コパ・ムンディアルを履いていた藤田俊哉さんや清水範久さんに「履いてみれば?」と薦められたのがきっかけです。
――今回のインタビューは「前田遼一、コパ・ムンディアルを大いに語る」というテーマでして、コパ・ムンディアルは名品の誉れ高い、アディダスのロングセラーです。Jリーガーでコパ・ムンディアルを履いているのは、前田選手しかいないと言われていまして、コパ・ムンディアルにおける「ラスト・サムライ」なわけです。
前田:そうなんですか(笑)
――コパ・ムンディアルは、1982年に発売されたモデルで、今年(2016年)で発売から34年になります。1981年生まれの前田選手と同世代ですよね。
前田:そうですね。初めて知りました(笑)
――コパ・ムンディアルのどこが気にいってますか?
前田:一番は変わらないこと。いまはどんどん新しいモデルが出て、デザインや色、機能などが次々に変わっていく中で、コパ・ムンディアルはずっと同じ形であるというのが一番ですね。
――多くの選手が、メーカーから新製品が出るたびに「今度はこれを履いてください」と言われ、新しいスパイクを履きます。前田選手の場合、「コパ・ムンディアルではなく、新製品を履いてくれませんか?」と言われることはないのですか。
前田:それは、ありますね。昔は練習で新しいスパイクを試すこともあったのですが、やっぱりコパ・ムンディアルの方がいいなと思って、アディダスの人に「すみません、コパ・ムンディアルを履きます」と言って、履かせてもらっています。
――何がそこまで、前田選手を魅了するのでしょう?
前田:ひとつは色ですね。いまはカラフルなスパイクがたくさん出ていますが、僕の中でスパイクというと黒なんです。それと、天然皮革を使っていること。カンガルーの革を使っていて、柔らかいところも気に入っています。あとは、ポイントですね。これが結構大事で、丸い型をしているので、足腰への負担も少ない気がします。
――コパ・ムンディアルを履いていることで、若い選手から何か言われたりはしませんか?
前田:けっこう言われます。「いまの時代に合ってないよ」とか(笑)。いまのスパイクは色も鮮やかで、かっこいいじゃないですか。見ての通り、コパムンは地味ですから。いまでも、若手が冗談っぽくいじってきますね。
――そういう時は、何と言い返すんですか?
前田:「これはこれでいいんだよ。いまさら変えられないよ」と言っています。中学時代から、黒のスパイクを履いていますし、プロになってから白いスパイクを履いたこともあったんですけれど、それもわずかな期間で、ここ10年ほどはずっと黒いコパムンですからね。
――年間、何足ぐらい履きますか?
前田:8足ぐらいかな。
――スパイクを替えるタイミングは?
前田:ポイントが削れてきたときと、革が伸びるというか、柔らかくなりすぎたら替えます。1ヵ月に1回ぐらいは替えています。そうすると、1年で8足ではなくて、もっと履いているかもしれませんね。
――スパイクに刺繍を入れる選手もいるじゃないですか。前田選手は入れたりはしないのですか?
前田:申し訳なくて、アディダスの人に頼めないです(笑)。そもそも新製品ではなく、頼みこんでコパムンを履かせてもらっているわけですから。
――先日、キングギアでプーマの名品『パラメヒコ』を愛用している、播戸竜二選手のインタビューをしたのですが、彼は「日本代表に選ばれた時に、刺繍を入れてもらった」と言っていました。それまでは、刺繍を入れてくださいと言えなかったらしんです。
前田:そういう話を聞くと、僕も代表に入ったときに刺繍を入れてもらえばよかったと思いますね(笑)
<Vol.2に続く>
<プロフィール> 前田遼一(まえだ・りょういち)1981年生まれ。暁星中学-暁星高校-ジュビロ磐田-FC東京。2009年、2010年と2年連続でJ1リーグ得点王&ベストイレブンを獲得。日本代表33試合出場10得点。J1リーグ通算151点(2016年9月時点)
インタビュー文・写真 鈴木智之&編集部、写真編集 榎本貴浩
<合わせて読みたい>
黒革の矜持 第3回 播戸竜二×パラメヒコ「日本代表に入るまでは、スパイクに刺繍を入れないと決めていた」
adidas FOOTBALL CAMPAIGN EVENT フットボールクリニック編。香川と清武が履くアディダススパイク紹介。
マイ・ファースト・スパイク ユ・インス(FC東京)Vol.1 「高校時代の先輩のススメもあり、日本のサッカースタイルを学びたかった」
酒井高徳が語るギアVol.1「初めて履いたアディダスの“ファルカス”は、史上最高のスパイクだと思った」