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イタリア代表は復活できるのか?スパレッティ監督の挑戦と新時代の主役たち

イタリア代表は、EURO 2020優勝の歓喜から一転、ワールドカップ2大会連続予選敗退という屈辱を味わった。2023年8月、マンチーニ監督の電撃辞任を受け、ナポリをセリエA制覇に導いたスパレッティが新監督に就任。EURO 2024では決勝トーナメント進出を果たすも、スイスに完敗しベスト16敗退。再建への道は険しい。イタリアは再び世界の頂点に立てるのか? スパレッティの手腕と新世代の躍進が、その鍵を握る。※トップ画像出典/photoAC

Icon       池田 鉄平 | 2025/03/18

栄光と挫折を繰り返すイタリア代表

イタリア代表は、FIFAワールドカップ優勝4回(1934年、1938年、1982年、2006年)を誇るサッカー界の名門だ。特に欧州開催の大会では抜群の強さを発揮し、すべての優勝を欧州の地で成し遂げている。FIFAランキングでは1位に輝いた経験を持つ8カ国のうちの一つでもある。しかし、その栄光の歴史に影を落としたのが ワールドカップ2大会連続予選敗退という未曾有の事態だった。EURO 2020では優勝を果たしながらも、ロシアW杯(2018年)、カタールW杯(2022年)と続けて本大会出場を逃し、サッカー大国イタリアにとって屈辱的な結果となった。この危機に対し、ルチアーノ・スパレッティ監督のもとで再建が進められている。イタリア代表は復活できるのか?その鍵を握る監督の手腕と、新時代を担う選手たちに迫る。

スパレッティ監督の就任―本戦出場するが、課題は山積み

2023年8月、イタリア代表に衝撃が走った。ロベルト・マンチーニ監督が電撃辞任したのだ。彼はイタリアをEURO 2020優勝へと導いた名将だったが、イタリアサッカー連盟(FIGC)との意見の相違を理由に突然の退任を決断した。その後任に選ばれたのは、2022-23シーズンにナポリをセリエA優勝へと導いた名将ルチアーノ・スパレッティだった。攻撃的な戦術と卓越した戦術眼を持つ彼に、イタリア代表の再建が託された。

スパレッティ監督の下、イタリアはUEFA EURO 2024予選に臨む。イングランド、ウクライナ、北マケドニア、マルタという厳しいグループに入り、苦戦を強いられながらも、最終的に得失点差でウクライナを上回り2位通過で本戦出場を決めた。本戦では、アルバニア、スペイン、クロアチアとの同組となった。アルバニア戦では、試合開始早々に失点を喫したものの、すぐに逆転して勝利を収めたが、スペイン線ではオウンゴールにより敗戦を喫することとなった。クロアチア戦では試合終了間際に同点ゴールを決め、なんとか決勝トーナメント進出を果たすが、ラウンド16ではスイスに0-2で完敗し、EURO連覇の夢はあっけなくついえる結果となった。

試合後、前回大会MVPのジャンルイジ・ドンナルンマは「責任を取って謝る必要がある」と語り、チームのふがいなさを認めた。これによりスパレッティ監督の再建は、まだ道半ばであることがはっきりと示された。

イタリア代表の未来―救世主は現れるのか?

イタリアが世界のトップに返り咲くには、新たなスター選手の台頭が不可欠だろう。スパレッティのもとで飛躍が期待される、次世代の主役たちを紹介しよう。

1. アレッサンドロ・バストーニ(DF/インテル)

「次世代のカテナチオを担うリーダー」
イタリアの伝統である堅守を象徴する存在として期待されるのが、インテルの守備の要・バストーニだ。193cmの長身と冷静な判断力を兼ね備えた左利きのセンターバック。ビルドアップ能力も高く、攻撃の起点にもなれる。すでにインテルではビッグマッチを経験しており、今後は代表でも絶対的な存在となることが求められる。

2. ニコロ・バレッラ(MF/インテル)

「イタリアの心臓を担う男」
バレッラは、イタリアの中盤を支えるキープレーヤーの1人だ。高い運動量、パスセンス、守備力、得点力を兼ね備えた万能型MF。インテルでは絶対的な存在であり、代表でも攻守の要として期待されている。バレッラがどれだけチームを支配できるかが、今後のイタリア代表の命運を左右するだろう。

3. ダヴィデ・フラッテージ(MF/インテル)

「バレッラの相棒になり得るダイナモ」
ゴール前に飛び出すセンスとフィジカルの強さを武器に、攻撃のアクセントを加えるMF。すでにEURO 2024予選で得点を重ね、代表でも存在感を増している。バレッラと共に中盤を形成することで、イタリアの攻撃力を大幅に向上させる可能性がある選手だ。

4. マテオ・レテギ(FW /ジェノア)

「長年のストライカー不足を救う存在となるか?」
イタリア代表の最大の課題は 「決定力不足」 といえる。EURO 2020ではチーロ・インモービレがストライカーを務めたものの、肝心な場面での決定力に欠けていた。そんな中、アルゼンチン生まれのイタリア国籍選手マテオ・レテギに期待が集まる。フィジカルの強さとポジショニングの良さを武器に、ゴールを量産できるタイプのFW。イタリアの長年の悩みを解決する可能性を秘めている。

イタリア代表が再び世界のトップに返り咲くためには、これらの選手たちのさらなる成長が不可欠といえるだろう。バストーニが守備の柱となり、バレッラ&フラッテージが中盤を支配し、レテギがストライカー問題を解決できれば、イタリアは再び世界の舞台で輝くことができるかもしれない。
果たして、彼らの中から真の「救世主」が現れるのか?スパレッティ監督の手腕とともに、今後のイタリア代表の行方に注目が集まる。