
山本が今永を制す。日本人投手が火花を散らしたドジャース・カブスの開幕戦をプレーバック!
3月18日(火)、19日(水)に東京ドームでメジャーリーグの開幕戦・シカゴ・カブス対ロサンゼルス・ドジャースが開催された。両チーム合わせて5名の日本人選手が出場することもあって、チケットは争奪戦を呼び、テレビ中継の瞬間最高視聴率が35.7%(ビデオリサーチ、関東地区)という高い数字を叩き出すなど、各メディアでも大きな話題を博した同シリーズ。そんな2試合がどんな展開になったかを1戦ごとに振り返っていく。まずは、第1戦目を総括する。※トップ画像出典/photoAC

日本人同士による開幕投手対決は史上初
3月18日、日本で6年ぶりのメジャーリーグ公式戦となるドジャース対カブスの開幕戦が行われた。特に注目を浴びていたのは、昨季リーグMVPで“50-50”を達成した大谷翔平。東京ドームの観客からすさまじい数のフラッシュを浴びていた大谷だったが、それ以上にグラウンドで輝いた選手たちがいた。
それはドジャース・山本由伸とカブス・今永昇太。メジャーリーグの開幕戦で日本人投手が先発で投げ合うのは史上初。この歴史的なマッチアップで彼らは素晴らしいパフォーマンスを披露した。
いきなりのトラブルを回避して神投球を見せた山本
圧巻の投球でドームを釘付けにしたのは山本だった。彼のピッチングがチームの士気を一気に加速させたといっても過言ではない。初回、1番打者のハップを迎えた緊張感溢れる場面でピッチコムに不具合が起き、機械を交換。ピッチクロックにより初球を投じる前に1ボールをカウントされてしまった山本。動揺を隠せないままフォアボールを与えてしまう。しかし、ここで崩れなかったところに山本の進化を感じた。
続く鈴木誠也を150キロ台中盤のストレートで押してバットをへし折り、ショートライナーに抑えると後続を打ち取って無失点で切り抜けたのだ。2回に1失点こそ許すも、3回以降は復調。最速158キロのストレート、昨季より球速とキレが増した150キロ台のスプリットを多投し、5回1失点で乗り切った。ボールの質はもちろん、マウンドでの雄叫びが印象的で、開幕戦に懸ける意気込みを感じた72球だった。
浮き上がるストレートでドジャースを無安打に抑えた今永
対するカブス・今永も強力なドジャース打線に堂々と向かっていった。トップバッター・大谷との対戦では、初球に自慢の浮き上がるような回転数の多いストレートを高めに決めた。すると力んだ大谷をボテボテのセカンドゴロに打ち取ると、後続のバッターもストレートとチェンジアップのコンビネーションで手玉に取っていった。
結局、今永は4イニングで69球を投じて四球を4つ与えてしまったが、コースを突く丁寧な投球で無安打無失点。試合後の会見で「球数を使ってなんとか無失点に抑えられたらと思っていた」と語っており、計算通りの投球を披露。調整段階だったことも考えると、今季も10勝以上は期待できそうだ。
大谷は緊張感から解放されて初ヒットをマーク
一方の大谷は「めずらしく緊張しているなと感じた」と試合後に語ったように、マスコミからの期待やドームの大歓声を浴びて力が入ってしまい、最初の2打席は今永の前に凡退。それでも、3打席目に集中力を取り戻す。代わった投手に追い込まれるも、高めに甘く入った変化球を鋭いスイングで捉えて、ライト前に痛烈なヒットを放った。打球速度は172.8キロだった。
プレッシャーから解放された大谷は、9回の第5打席でも低めのスライダーを弾き返してツーベースヒットをマーク。5打数2安打で今季も心配なしという姿を見せた。
鈴木誠也はノーヒットDHに戸惑いあり…?
カブス・鈴木は2番DHで出場。しかし、インコースのストレートに手が出ず見逃し三振、変化球にタイミングを外されてサードライナーに打ち取られるなど、4打数ノーヒットに終わった。オープン戦で少しずつ調子を上げてきていただけに悔しい結果となった鈴木は、慣れないDHという役割に戸惑っているようにも感じられた。最終的に、開幕戦はドジャースがカブスに4-1で逆転勝利を収め、山本に勝ち星が付いた。ドジャースは世界王者の貫禄を見せつけた形になった。