
【NPB開幕】オープン戦を振り返り&それぞれの球団の収穫と課題とは?
約1か月に渡ったオープン戦も終わり、昨日より開幕したプロ野球2025年シーズン。それぞれの球団が春季キャンプやオープン戦を経て見えてきた収穫や課題は何か。今回は、オープン戦でのチームや個人成績を元に、今年も優勝争いを繰り広げそうな各リーグ2チームをメインに振り返る。※トップ画像出典/PhotoAC

セ・リーグは、好投手の揃った巨人や阪神が有力か

昨シーズン1位の読売ジャイアンツは、オープン戦16試合を7勝7敗2引き分け。エース菅野智之投手が抜けたあとを担う戸郷翔征投手やグリフィン投手の仕上がりは上々。山﨑伊織投手は、オープン戦最終登板で5失点とやや不安が残った。新加入の田中将大投手の復活にも期待がかかる。中日から移籍してきたマルティネス投手が加わり大勢投手や昨年新人王を獲得した船迫大雅投手など中継ぎと抑えは盤石。そんな投手陣をリードする、今シーズンホークスから加入した甲斐拓也捕手にも期待したい。そのためには、オープン戦最多ホームランの岡本和真選手をはじめとする打撃陣の奮起が連覇のカギを握る。
昨シーズン2位で終えた阪神タイガースは、12試合3勝5敗4引き分け。オープン戦でのチーム打率は.273で1位。個人成績でも、2位に.342で中野拓夢選手、3位に.316で前川右京選手が入り、前川は本塁打も3本で1位と好調だ。そして投手力にも注目。オープン戦防御率が0.00だった20歳の門別啓人投手や、3月に支配下契約をつかみ取った工藤泰成投手など、若い戦力が躍動しそうだ。実力はすでに証明済みの村上頌樹投手や才木浩人投手、岩崎優投手などの仕上がりは順調だが、大竹耕太郎投手や高橋遥人投手など開幕が遅れる左腕投手の復帰時期についてなど不安材料も残る。それでも、佐藤輝明選手や大山悠輔選手、近本光司選手、開幕投手の村上など、球団生え抜きの日本人選手がずらりと開幕スタメンに並ぶという、他球団にはないオーダーが見られるかもしれない。
横浜DeNAベイスターズは18試合8勝8敗2引き分けだった。昨シーズン覇者の横浜だが、シーズン通しての戦績は71勝69敗3分で勝率がほぼ5割だったこともあり、長期での戦いが課題かもしれない。1年ぶりに加入したバウアー投手など外国人投手陣の活躍は際立った。打撃陣は牧秀悟選手が1人息巻く形となりこちらも少し不安を感じる結果に…。リーグ優勝するためには、好不調の波をできるだけ少なくするためのチーム作りが必要となりそうだ。
広島東洋カープは18試合6勝10敗2引き分け。扇の要、坂倉将吾選手の負傷離脱が大きな影響を与えるかもしれない。そんな中、新外国人選手サンドロ・ファビアン選手、エレフリス・モンテロ選手、ドラ2の佐藤柳之介投手など楽しみな選手も出てきている。昨シーズン終盤、優勝間近で大失速しBクラスに終わった広島。シーズン終盤までを見据えての戦い方がカギになるかもしれない。
東京ヤクルトスワローズは15試合8勝5敗2引き分け。オープン戦は勝ち越したが、開幕を目前に控え塩見泰隆選手や村上宗隆選手の離脱が痛い。また17失策と守備の面でも不安が残り、細かい修正が必要のようだ。村上は今シーズンオフにでもメジャーに挑戦するという話も出ており、日本での最後のシーズンで優勝を手にしたい。
中日ドラゴンズは18試合6勝8敗4引き分け。岡林勇希選手が.打率364でオープン戦首位打者を取り、上林誠知選手は3本のホームランでオープン戦ホームラン王に輝いた。昨年最優秀防御率に輝いた髙橋宏斗投手や新加入のカイル・マラー投手など投打がかみ合うと上位浮上も。井上一樹新監督の元、3年連続最下位からの優勝争いも見えてくるかもしれない。
パ・リーグ優勝争いは、常勝軍団ホークスか、新庄監督率いる日ハムか…

福岡ソフトバンクホークスは18試合9勝6敗3引き分け。カーター・スチュワート・ジュニア投手や栗原陵矢選手の離脱は痛いが、リチャード選手や正木智也選手など若手のアピールもあり、選手層の厚さを感じさせる。有原航平投手やリバン・モイネロ投手、新加入の上沢直之投手などの先発陣も上々の仕上がりを見せ、チーム状態は好調のようだ。しかし昨シーズンオフ、長年チームの正捕手だった甲斐が移籍。次の正捕手が誰になるのか注目だが、いまだ定着はしていないようで不安が残る。山川穂高選手、近藤健介選手、柳田悠岐選手らのベテランレギュラー陣のオープン戦成績は振るわないが、浮上してくることを期待したい。
北海道日本ハムファイターズは16試合10勝3敗3引き分け。オープン戦優勝を決めた日ハム。4年目の指揮をとる新庄剛志監督、それまで2年間最下位だったのにもかかわらず、昨年は2位と大躍進。地道なチーム作りが実った結果となった。念願のリーグ優勝を目指す今年、山﨑福也投手、伊藤大海投手、金村尚真投手など先発陣は順調な調整ができているようだ。打撃に関しては、オープン戦15本のホームランは両リーグ1位の数字。昨年はリーグ優勝したホークスと30得点以上の差があったが、その差を埋めることができればリーグ優勝への道も1歩近づくかもしれない。
千葉ロッテマリーンズは17試合8勝7敗2引き分け。西野勇士投手、種市篤暉投手がそれぞれオープン戦2勝をあげ、好調な仕上がりを見せている。打撃では、ルーキーの西川史礁選手がオープン戦好調で開幕1軍へ猛アピール。ベテランと若手がバランスよく力を発揮できればリーグ優勝争いへ名乗りを上げるだろう。
東北楽天ゴールデンイーグルスは16試合5勝8敗3引き分け。開幕投手に指名されている早川隆久投手は1勝2敗ながら防御率1.59とシーズンに向け期待が持てる数字だ。ドラ1の宗山塁選手はオープン戦打率.231とルーキーとしてはまずまずの成績。開幕1軍、レギュラー取りなるか注目だ。
オリックス・バファローズは16試合3勝10敗3引き分け。オープン戦、大きく負け越したオリックス。防御率も12球団唯一の4点台。投手陣の立て直しが急務だが、打撃陣もあと1本が出ず得点に結びつかない印象。一昨年までのリーグ3連覇の輝きを取り戻せるか…。
埼玉西武ライオンズは14試合8勝4敗2引き分け。オープン戦2位となった西武。昨年シーズン0勝だった髙橋光成投手がオープン戦3勝と復活の兆しを見せる。開幕投手に指名されている今井達也投手も仕上がりは上々。オープン戦チーム防御率も1.96と12球団唯一の1点台と投手陣の充実がうかがえる。西口文也新監督を迎えた今シーズン、躍進に期待できる。
いよいよ幕を開けるプロ野球。ここから長い戦いが始まる。シーズン終了時にどのチームが日本一の栄光を手にしているのか、今から楽しみで仕方ない。
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