
選手だけじゃない、ピッチの外でも熱い!サッカー界の名監督たちが放つ唯一無二の魅力【後編】
サッカーの試合で熱いのは、選手だけではない。タッチライン際で激しく指示を飛ばし、時には審判や相手チームに食ってかかる監督。独自の戦術や哲学でチームを率い、その存在感をピッチ内外で示している。選手たちを尊重する思いやこだわりのスタイルを貫く姿は、選手だけでなくファンの心にも突き刺さる。そんな個性あふれる名監督たちは、どんな哲学でチームを作り、何をサッカーに求めているのか?日本と海外の“クセ強”監督たちに迫り、彼らの魅力を紹介していく。※トップ画像出典/photoAC

情熱を注入するカリスマ、ユルゲン・クロップ(元リヴァプールFC)
リヴァプールを率いて数々のタイトルを獲得したユルゲン・クロップは、そのエネルギッシュなキャラクターと情熱的な指導で世界中のファンを魅了してきた。彼のチームの代名詞である『ゲーゲンプレス』は、ボールを失った直後に組織的にボールを奪い返し、素早い攻撃につなげるという、まさに彼の情熱を体現したような戦術だ。
クロップは、選手との強い感情的な繋がりを築く能力に長け、選手を単なる駒としてではなく、人間として深く理解し、信頼関係を築いていく。試合後の熱い抱擁(クロップ・ハグ)は、彼の選手への愛情を示す象徴的なジェスチャーだ。彼は常にポジティブな姿勢を貫き、チームに信念を植え付けることで、クラブを劇的に変える力を持っている。タッチライン際での激しいジェスチャーや喜びを爆発させる姿は、ファンを熱狂させ、選手に情熱を注入するには十分だったろう。
現代サッカーを牽引する鬼才、ジョゼップ・グアルディオラ(マンチェスター・シティFC)
マンチェスター・シティを率いるジョゼップ・グアルディオラは、革新的な戦術と緻密なゲームプランで現代サッカーを牽引する名監督である。バルセロナ時代の『ティキ・タカ』をさらに進化させ、バイエルン・ミュンヘン、そしてマンチェスター・シティでも、ポゼッションを重視した高度なサッカーを見せている。
グアルディオラは、その徹底的な戦術へのこだわりと常に新しいアイデアを追求する探求心の持ち主。試合映像を何時間も分析し、対戦相手の弱点を徹底的に研究することで、緻密な戦略を立てていく。また『偽サイドバック』のような革新的な戦術を生み出すなど、柔軟で創造性にあふれている。選手には高い技術と戦術理解を求め、常に最高のパフォーマンスを発揮することを期待する。その知的なアプローチと完璧主義な姿勢は、多くの監督や選手に影響を与え続けているだろう。
勝利至上主義のスペシャル・ワン、ジョゼ・モウリーニョ(フェネルバフチェSK)
ジョゼ・モウリーニョは、数々のビッグクラブを渡り歩き、多くのタイトルを獲得してきた。自らを『スペシャル・ワン』と称し、カリスマ性と勝利への強いこだわりを持つ。その戦術は、時に守備的であると批判されることもあるが、結果を出すことへの執念は誰よりも強く、『勝つことが最も重要』という哲学を貫いている。モウリーニョの個性と言えば、その自信に満ち溢れた言動と、対戦相手やメディアとの間で繰り広げられる心理戦だ。選手に対しては厳しさを見せる一方で、個々の能力を見抜き、モチベーションを高めることにも長けている。その強烈な個性は、ファンだけでなく、多くの人々から注目を集めている。堅守をベースにしたたかに勝利を積み重ねていくのが特徴であり、その手腕は多くの人々に認められているだろう。
社会人サッカーに革命を起こす、槙野智章(品川CC横浜)
元日本代表DFであり浦和レッドダイヤモンズのレジェンド、そして「お祭り男」としても知られる槙野智章が、社会人サッカークラブ・品川CC横浜(神奈川県社会人サッカー1部リーグ)の監督として新たな挑戦を始めている。
槙野が掲げるのは、『社会人サッカーに革命を起こす』という壮大な目標であり『熱く、激しく、楽しいチーム』を目標に、情熱的なプレーと勝利への強いこだわりを持ちながら、選手たちが楽しみながら成長できる環境を作る。また、品川CCの選手たちが地域社会の手本となり、活力を与える存在となることも目指し、サッカーを通じて地域社会に貢献したいという強い思いを持っているのも特徴だ。
彼の情熱は単なる感情の現れではない。その背景には、選手時代に影響を受けた指導者たちがいる。ミハイロ・ペトロヴィッチ、森山佳郎、ディエゴ・シメオネなど。品川CCでの挑戦は、社会人サッカー界に新たな風を吹き込み、未来の『槙野ジャパン』へと繋がっていくことだろう。