
「今、代表に呼ぶべき選手たち」W杯優勝を目指す森保ジャパンの“次のピース”たち
バーレーンに快勝し、日本代表は史上最速でアジア最終予選を突破。ただ、指揮官・森保一の視線はすでにその先──2026年W杯での「優勝」に向けられている。 「2〜3チーム分の層を持てる代表を作りたい」。 そう語る森保監督のもと、代表スタッフは欧州10カ国を20日かけて視察する大型スカウトツアーを実施予定だ。視察先はスペインやドイツといったメジャー国にとどまらず、ポーランドや北欧諸国といった“見逃されがちな実力者”が眠るリーグにも及ぶ。※イラスト/vaguely

今回ピックアップするのは、まさにそんな“発掘枠”にいる選手たち。現地で結果を出し、タフな環境で揉まれてきた彼らこそが、これからの代表に新たな選択肢と可能性をもたらす存在だ。
なぜ、今このタイミングで彼らを呼ぶべきなのか?プレーの特性、代表戦術との相性、そしてチームに与える影響まで、具体的に深掘りしていく。
松木玖生──「止まらない頭脳」と「止まらない体」
今、日本代表に必要なピースの一つが、“オフザボールで違いを作れる選手”だとするなら、松木玖生の名前を外す理由はもうどこにもない。
トルコリーグでプレーする彼の試合を見たとき、まず驚いたのは、「1秒も頭を止めていない」こと。裏へ抜け、間で受け、味方がボールを失いそうになった瞬間にはすでに切り替えてプレスへ。首を振りながら、常に次の状況を想定して動いている。
一瞬の迷いもなく動けるのは、頭の中で常に状況が整理されているから判断が早く、ポジショニングが的確。そして守備でも手を抜かない。
タイプで言えば、ミュラーやユリアン・アルバレスの系譜。「使われる選手」ではなく、「自らプレーをデザインする選手」。しかも、まだ21歳。フィジカルもトルコの中で埋もれないどころか、目立つほど強くて大きい。
いまの日本代表には、“攻撃でも守備でも献身できて、しかも周囲を生かせる”万能型のセカンドトップ〜シャドータイプが必要だ。松木は、その最適解かもしれない。
「プレミアで見たい」と思わせるほどのクオリティを持った選手が、代表に呼ばれない理由はもはや存在しない。
佐野海舟──“完璧なMF”が、なぜ日本代表にいないのか?
佐野海舟の名前を聞くたびに、ふと疑問がよぎる。
「なぜこの選手が、まだA代表に呼ばれていないのか?」と。
マインツに移籍した初年度からブンデスリーガでほぼフル稼働。第3節以降、1分も欠場していない。26試合出場でチームは3位、ヨーロッパの舞台が視野に入る位置にいる。
それだけではない。監督のヘンリクセンは、佐野の代表招集が見送られたことについてこう語っている。「正直、招集されなくてよかった。シーズン終盤に向けて、体力を温存できるからだ」つまり、“日本代表に呼ばれないのはラッキー”と、ブンデスの監督が口にしてしまうほどの選手なのだ。
・戦術理解度が高く
・球際に強く
・カードももらわず(今季イエロー3枚)
・そしてチームにとって不可欠な存在
佐野は、今の代表の中盤に足りない“アンカーとしての安定感と、ミスの少なさ”を兼ね備えた選手。そして彼のスタイルは、どんな監督、どんなチームにもフィットする。だからこそマインツで信頼され、使われ続けている。
注目株・森下龍矢ーポーランドで“二桁ゴール&二桁アシスト”達成
新戦力の候補として注目されているのが、レギア・ワルシャワの森下龍矢(27)。
名古屋からポーランドに渡った彼は、もともとサイドバックやウイングバックが主戦場だったはずが、いまやウイング、トップ下、センターフォワードまでこなす“ポジションフリー”のアタッカーに進化。
そして今シーズン、ついに二桁ゴール&二桁アシストをマーク。これはクラブにとっても約10年ぶりの大記録で、現地メディアはこう評している。
「この成績を残した選手は、近年でたったの4人しかいない」
「シーズン後半、森下は完全にチームの中心選手になった」
パフォーマンスの勢いはとどまるところを知らず、プレーの幅・戦術理解・勝負強さすべてでチームを引っ張っている。
さらに、クラブ公式X(旧Twitter)もノリノリでこう称賛している。
「日本のGOAT(史上最高)がシーズンダブルを達成!」
異国の地で、結果を出しながら存在感を増していく森下。
代表復帰どころか、今の日本代表に“新しい武器”として必要とされる日が、すぐそこまで来てるかもしれない。
日本代表に呼ぶべきJリーガーはこの男──中野就斗(サンフレッチェ広島)
2000年6月27日生まれ(24歳)サンフレッチェ広島/CB & WB
いま、中野就斗という名前を“Jリーグ有数の守備者”として語ることに、異論のある人は少ないはずだ。
2024シーズン、彼は本職のセンターバックに加え、ウイングバックとしても結果を残した。
最終ラインの堅さに加えて、サイドでの上下動、攻撃参加、カウンターの起点づくり──そのプレー範囲と強度の高さは、明らかに別次元に達している。
身体を張る守備はもちろん、前線での関与も含めて、「守れるだけじゃないDF」から「攻撃を前進させるDF」へと進化を遂げた。中野が特別なのは、CBもWBもできるという“ユーティリティ性”が理由じゃない。どちらを任されても、役割の本質を理解した上でハイパフォーマンスが出せるという点にある。例えば、WBで出場した試合では守備の基本を押さえながらも、スプリントで背後を狙い、逆サイドへの展開にも絡む余裕すら見せる。CBに入れば、対人の強さに加えて、ボール保持の場面での落ち着きと丁寧な前進が光る。
代表でも採用されている3バック+WBシステムに完璧にフィットする数少ない選手のひとりだ。
彼らは「穴埋め」じゃない。日本代表を“押し上げる”人材だ。
松木玖生、佐野海舟、森下龍矢、中野就斗。
彼らに共通しているのは、ただ「調子がいい」だけではない。自分のプレーでチームを前に進められる選手だということだ。
いまの代表には、選手層の“厚み”だけでなく、“多様性”と“柔軟性”が必要になっている。
戦術の幅、相手によって変わる試合展開、そして長丁場のW杯を見据えれば、「いつもの主力」だけでは到底足りない。この4人は、その“次のピース”になりうる。いや、むしろ──
森保ジャパンのスタンダードを、もう一段上に引き上げる存在になる可能性すらある。
2025年は、彼らが“代表入り”を通過点に、日本代表の景色を変える年になるかもしれない。
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